時事寸評 書評コーナー

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消費増税こそ未来の世代にツケを回す愚作です

消費増税こそ未来の世代にツケを回す愚作です

財務省・新聞社と全く同じ主張の読者欄

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 2月20日の読売新聞の声欄(「気流」欄)に、千葉県香取市に住む70歳男性からの投稿が載っていました。投稿者の言わんとするポイントは、「一般会計の総額が100兆円の大台を超えた。依然、3分の1を新規国債発行で賄う借金頼みの構図は変わらず、国と地方の長期債務残高は1100兆円に上る見通しとなった。このままでは財政は破綻しかねず、経済や国民経済に大きな影響を与えることになるだろう」というもので、よって、「このままでは財政は破綻しかねず、経済や国民生活に大きな影響を与えることになるだろう。特に、将来世代の子孫に重いツケを残すことが気がかりだ」というものです。
 何のことはありません。従来から読売新聞が社説などを通じて主張してきた論調と何ら変わりがありません。読者欄を通じて社の方針を代弁させ、ダメ押しをしたにすぎない、と言ってもよいでしょう。
 財務省だけでなく、大新聞社までもが、「日本の財政は危機だ。早急に消費増税によって財政健全化を図らなければ大変なことになる」と書いているんですから、一般の読者がそのように思い込むのも無理はありません。

今は逆に減税こそすべき時

 私は、この欄で、これまでくどいほど消費増税には反対である旨を主張してきました。それは、次のような理由からです。
(1)先ず、経済の現状は、20年以上の長期にわたってデフレ状態にあり、容易にこの状態を脱出できていないこと
(2)この現状を改善するためには、アベノミクスの3本の矢、すなわち、①大規模な金融緩和、②拡張的な財政政策、③民間投資を呼び起こす成長戦略のことですが、この3本の矢のうち、①はほぼ○、②は×、③は△といったところです。このため、せっかく黒田日銀が超低金利政策を実施しても、景気浮揚に結びついていないこと。
(3)それなのに、この段階で消費増税を実行するのは、日本経済を再びデフレの深みに引きずり込む最悪の政策である。むしろ、今は消費税を逆に5%に戻すなど、思い切った減税措置こそ必要である、
と、このように主張してきたのです。

アベノミクスの成果と言うけれど

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 財務省とて経済の現状認識について、大きな違いはないと思います。つまり、経済の現状は、あまりよくないという認識では一致しているのです。
 確かに、アベノミクスの成果として、一定の改善効果は見られます。具体的な数字は、政府広報(内閣府)に示されています。
 政府広報曰く、名目GDP(国内総生産)は、493兆円から546兆円に増えた。企業収益は48兆円から83兆円に増えた。就業者数は6,271万人から6,522万人に増えた。国と地方の税収は78兆円から102兆円に増えた。完全失業率は4.3%から2.5%に減少した。有効求人倍率は0.83倍から1.63倍に上昇した。正社員の有効求人倍率は0.50倍から1.13倍に上昇した、等々です。
 なるほど、確かに好ましい数字が並んでいます。特に、有効求人倍率が0.83倍から1.63倍に上昇したことは、素晴らしいことです。労働者、あるいは国民にとって、仕事がないことほどつらいことはありません。仕事がなく、職にあぶれた若者が街に溢れている、というような状況は社会不安をもたらし、最悪です。「色白は七難隠す」という言葉があります。同様に、「雇用は七難隠す」と言ってよいほどに、働く職場がある、ということは国民にとって大きな幸せをもたらします。
 でも、雇用の改善って、本当にアベノミクスの効果なのでしょうか。今、日本の働き盛りの労働者、つまり15歳以上65歳未満の「生産年齢人口」は、少子化の影響により、減少の一途をたどっています。採用者数が一定であれば、年々、労働者不足が深刻になる、という状態が続いているのです。端的に言えば、人口構造の変化により、職にあぶれようがないのです。つまり、これはアベノミクスの効果というのではなく、誰が政権を担っても有効求人倍率は上昇する、という社会(人口)構造になっているのです。

豊かになったかどうかは賃金次第

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 私たちの家計が豊かになったのかどうかの判断は、賃金の上昇があったかなかったのかの差による、と言ってよいでしょう。サラリーマンは、毎月の給料が上がれば喜びます。これが名目賃金ですが、物価がそれ以上に上がってしまえば喜んではいられません。つまり、給料が5%上がっても、物価が10%上がってしまえば、生活は逆に苦しくなります。「実質賃金」が下落してしまうからです。
 給与生活者の生活水準を、名目賃金で見るか実質賃金で見るべきか、一概には言えません。購買力という視点で見るなら実質賃金で見るべきですが、統計上、景気の良い時でも実質賃金は下がることがあります。なぜなら、景気の上昇により、雇用が改善します。そうすると、これまで未就労だった主婦や高齢者が、新たに労働市場に参入してきます。また、人手不足の影響により、定年退職した労働者を、役職停止にし、賃金を大幅にダウンすることを条件に再雇用するということも起こります。更には外国人労働者まで大量に雇用しています。そうなると実質賃金の基礎となる平均的な賃金水準は低下せざるを得ません。
 つまり、雇用は改善されて、職にあぶれる者はいなくなるものの、全体としての賃金水準は低下してしまうのです。仮にそれがアベノミクスの成果だとしても、雇用が改善されても名目賃金、実質賃金はほとんど改善されない、という結果になってしまうのです。
 前述した政府広報では、名目GDPや就業者数が改善されたと誇らしく説明していますが、名目賃金や実質賃金については、一切言及されていないのは、そのような事情によるものと考えるべきです。

▶▶▶→政府広報のページ「データで見るアベノミクス」

 テレビで国会中継を見ていたら、珍しく賃金論争がなされていました。野党側が「実質賃金」をネタに、「下がっているではないか」と追及していました。しかし、これは前述したように、主婦や高齢者、定年延長者、外国人労働者の加入により、総量としての平均賃金、つまり物価の変動を織り込んだ賃金ですからダウンするのは、いわば当然なのです。
 問題は、労働力不足を外国人労働者を入れることにより、賃金水準が低いままに固定化させてしまったことです。この方が罪深いと思います。本来なら、サラリーマンなど賃金生活者の給料は、もっと上がるはずだったのに、据え置きになってしまったからです。
 本来、国が誘導すべき政策は、人手不足の解消手段として、AI(人工知能)やIOT(モノのインターネット化)、ロボット技術の活用などにより、1人当たりの労働生産性を高めることでした。国は、ここで大きな失敗をしたと思います。大量の外国人労働者の受入れは、我が国の内側に社会的混乱の種を蒔き、長い年月にわたって、日本人を苦しめることになるでしょう。
 蛇足ですが、国会における統計を巡る議論などを聞いていると、些末な議論が多く、本当に情けなくなります。統計問題の不正など、基本的には、統計処理に要する職員を大幅削減したことにより生じた「要員」の問題です。それは野党が政権を担っていた時代から続いてきた問題で、たまたま自民党政権時に露呈したにすぎません。政権担当時に気づかなかったのに、全責任を政権党のせいにしようとする野党の態度は、余りにも小児的で話になりません。議論をするなら、デジタル化時代に相応しい合理的な統計手法に改善するにはどうすべきなのか、といった本質的な議論をすべきです。制度的にも、現在の役所縦割りの計数整理方式を、「統計庁」のような統計の専門家集団で一元管理するなど、抜本的な対策を検討すべきです。それこそが国会というものの役割ではありませんか。統計数理の誤魔化しなど、いちいち官邸が直接関与している筈がないではありませんか。この論法が通るなら、郵便ポストが赤いのも官邸が関与しているに違いありません。敵失の揚げ足取りばかりに終始する野党に未来はありません。

財政破綻論一色の財務省とマスコミ

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 前述の投稿者をはじめ、財務省、マスコミ各社が喧伝するように、日本において財政破綻は本当に起きるのでしょうか。財政破綻とは、国や地方自治体が行政活動や公共政策などの遂行のために行う、資金の調達や管理、支出などの経済活動が正常にできなくなる状態のことです。企業(会社)に例えるなら「倒産」や「破産」です。北海道の夕張市などが、その実例ですね。
 投稿者のように、国の借金は1100兆円を超えた。1人当たりの借金額は800万を超えた。国家予算の3分の1を国債発行で賄っているのは異常だ、と考えるのは普通の感覚と言ってよいでしょう。財務省もマスコミも、そして多くの高名な経済学者たちもそのように主張をしているからです。
 東大教授や日本経済学会会長、財務省財政制度審議会会長などの要職を歴任した経済学者の吉川洋立正大教授も、読売新聞の「地球を読む」の欄で、「国の税収とその他の収入は合わせて64兆円しかない。不足する34兆円は借金、すなわち国債で埋め合わせている。年々の赤字がたまった借金の残高は1,000兆円を上回り、国内総生産(GDP)の2倍を超えた。(中略)日本の財政赤字は深刻だ。」と述べています。
 同氏はさらに、消費増税が必要だとして、次のように述べています。『日本では消費税と言うと、政府も政治家も皆、「景気を悪くする」と口をそろえる。たしかに増税すれば消費者の購買力はその分少なくなるから、GDPの6割を占める家計の消費は減少する。しかし、この「減少」は一時的なものだ。経済成長に伴い所得(経済全体でみればGDP)が増えるから、少し長い目で見れば消費は増大する。』
 この論理、何処かで聞いたことがありませんか。そう、正しく財務省やマスコミの主張そのものなのです。財務省お抱えポチの面目躍如です。

国民は何度も騙されてきた

 私たちは、これまで国やマスコミにさんざん騙されてきました。フェイクニュースを含めれば、余りにも多く騙され続けたので、騙され疲れで感覚が麻痺してしまった、と言っても過言ではありません。
 政治問題化した慰安婦問題や南京大虐殺問題、教科書書き換え問題、国内的には牛込柳町鉛中毒騒動、所沢ダイオキシン騒動、それに森友・加計問題など、今振り返ってみれば、すべてウソと捏造ばかりでした。歌舞伎町通いをし、「面従腹背が私の信条」と宣っていた前川喜平元文部事務次官の証言のみを取り上げ、地元で実際に誘致活動をしていた加戸守行元愛媛県知事の「本当は行政が正された」との証言はほぼ無視したマスコミ。地球温暖化、リサイクル問題なども、温暖化に名を借りた集団ペテン師たちの所業と断定してもよいでしょう。
 今回の国の財政危機問題、そしてその財政問題を解決するための消費増税問題。これらもすべて彼らの虚偽・捏造による誤魔化しである、と断定してよいと思います。第一、新聞については早々に軽減税率の対象になる、との裏取引をしているような新聞業界の主張など、どこまで信用できるというのでしょうか。
 これまで財政危機問題は、主に消費増税を実現するための手段として論じられてきました。日本は財政危機である。このままでは年金問題など、老後の社会保障ができなくなる。よって、消費増税によって、社会保障を盤石なものにする必要がある、という三段論法です。

借金と1人当たりの負債のみを言う財務省とマスコミ

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 では、日本は本当に財政破綻間近の、財政危機の状態にあるのでしょうか。結論を言えば、決してそんなことはありません。
 確かに、国の借金が1,000兆円を超えていることや、一人当たりの借金に換算すれば800万円を超しているというのは、その限りにおいて間違っていません。しかし、民間企業がそうであるように、財務状況の良否は、貸借対照表、損益計算書、利益処分計算書などの財務諸表によって判断すべきものです。
 貸借対照表は、資産と負債、資本によって構成されています。資産は左側、負債と資本は右側です。これら3つの要素のバランスが取れていれば、財務は健全である、と言うことになります。
 この財務の健全性を判断する際に、負債の部だけを見る人間はいません。負債の部だけを見て判断する銀行員がいたら、アホバカポン助呼ばわりされるでしょう。それでは銀行員は務まらないのです。
 財務健全性の判断において重要なのは、いくら負債があろうとも、それに見合う資産があれば問題はありません。会社の負債が1兆円あろうと、資産の裏付けさえあれば何の問題もないのです。
 因みに、東洋経済の「借金が多い企業200社ランキング」(2014年版)によれば、1位トヨタ、2位ソフトバンク、3位東京電力となっています。1位のトヨタ自動車の借入金は17.6兆円です。これに対し、関連会社を含めた連結従業員数は36万人ですが、トヨタ単独の社員数は、7万6,000人です。社員一人当たりの借金額は2億2,300万円です。
 国の場合は、1人当たりの借金額が800万円を超したということで、慌てふためいているなら、トヨタ自動車の社員一人当たりの2億超の借金額はどう判断するのでしょう。日本人の誰が、これを大問題だと騒いでいるでしょうか。騒いではいません。それは貸借対照表を見て、借入金に見合う資産がある、と見なされているからです。ならば、どうして民間企業については貸借対照表を見て安全だと言うのに、国についても同じ思考をしないのでしょうか。
 国の場合も、財務省のホームページで「国の貸借対照表」を公開しています。折角、この貸借対照表を作って公表しているのに、なぜ国の借金の額と1人当たりの借金の額だけが問題になるのでしょうか。
 それは財務省が、敢えて貸借対照表の右側だけしか説明しないからです。右側だけしか説明しないなら、世界のトヨタの借金額を聞いて、普通の人なら気絶してしまうでしょう。このような誰にでも分かってしまうようなウソを平気で言うのが財務省であり、マスコミ、経済!学者なのです。

国の借金は国民の資産

 当然ですが、国の借金は、イコール国民の資産です。国は国民からお金を借りているのです。家計の貸借対照表を作るなら、資産の部に銀行預金、資本の部に(国への)貸付金です。
 財務省は、借金が返せなくなるなんて言いますがウソです。そんなものいくらでも返済可能です。家計や企業は、紙幣を印刷する権限がありませんが、国には、貨幣発行権という超強力な武器があるのです。しかも、「国民の義務」という形で税金を徴収する権限まであるのです。徴税権と貨幣発行権、国債発行権という3つの強力な武器を持つ国が、借金を返せなくなる?とんでもありません。家計や企業よりもはるかにはるかに強力なのです。
 しかも、日銀はすでに400兆円以上の国債を市場から回収しています。日銀と国は、一心同体ですから、民間企業の連結決算と同じく、連結して決算を見る(統合政府)ことが許されます。この段階で、すでに400兆円以上が回収済み(償還済み)と考えることができるのです。

今、本当に必要な経済政策とは

 では、今後の日本、本当に行なうべき経済政策とは何でしょうか。次に主な項目のみ列挙します。
①いますぐ消費増税の旗を降ろすこと。逆に、消費税を5%に戻すと宣言すること。
②租税を取り損なう割合が高いので、マイナンバー制度の普及徹底を図ること。そのため、経過措置として、マイナンバーを使用する者にさまざまな恩典を与えること。
③経済成長を図るため、毎年度、当初予算を3~5%ずつ確実に増額すること。そのために予算が不足するなら国債発行で賄うこと。税収増は、増税政策によるのではなく、景気浮揚、経済成長の果実として得られるものであることを認識する必要があるからです。
④金融商品による所得に対する分離課税を廃止すること。
⑤財政均衡論者の主張するプライマリーバランスの旗を即刻降ろすこと。

高額所得者は優遇されすぎ

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 上の④については、若干の説明が必要です。多くの国民は、所得が増えれば増えるほど税率が高くなる、と思っている筈です。一時は最高税率75%なんていう時代もありましたが、今は、45%です。これに住民税の10%を加えても、最高税率は55%ということになります。
 ところが、所得が年間10億円、20億円と増えていくにしたがって、税率がどんどん下がっていく人がいるのです。株の売買などによって、所得を増やした人の場合、分離課税により、株の所得に対する最高税率は20%に抑えられているからです。
 ですから、株で儲けた所得の割合が高くなればなるほど、所得全体に占める税率は20%に近づいていくのです。大金持ちほど、税金で優遇される仕組みです。豊かな層ほど益々豊かになっていくというのは、決して健全な社会とは言えません。④により、金融商品の取引による所得に対しては、不公平感を是正することが必要であり、そのことにより税収増にもなるのです。

黒田総裁も所詮は財務省の言いなり

 最近、日銀の黒田総裁の元気がありません。それはそうです。物価目標
僅か2%が実現できず、毎年、先送りを繰り返しているからです。すでにマイナス金利ですから、金利の上げ下げによる操作のしようもありません。この責任を黒田総裁にだけ押しつけるわけにはいきません。
 経済成長は、金融の操作だけで実現できるものではないからです。アベノミクスの3本の矢のうち、「財政出動」が全く欠けています。財政均衡論、すなわちPB(プライマリーバランス)という亡霊により、思い切った政策を実行できなかったからです。
 その黒田総裁、自棄(ヤケ)を起こしたのでしょうか。最近は消費増税に賛成の意向さえ示しました。今の日本にとって、消費増税がいかに経済に悪影響を及ぼすか、知らない筈はありません。経済成長の見通しもつかない中、孤軍奮闘することに嫌気がさし、財務省のご機嫌を伺っておいた方が、次のポストが約束されると考えたのでしょうか。そう判断するしかありません。

経済発展の原点は楽市楽座にあり

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 経済が発展するためには、みんなが喜んで税金を払える環境を整えることです。遠くは楽市楽座、近くはバブルの時代といってもよいでしょう。
 織田信長は、既存の慣習や慣例を無視し、合理的な精神で世の中を引っ張って行った大名でした。彼が美濃国など領国内で導入した楽市楽座は、既存の特権的な座や独占販売を禁止し、課税を免除するなどして自由な市場を活性化させるものでした。既得権の排除により、遠方からでも商人が集まり、領国は繁盛したとされています。当然、税収も上がり、鉄砲の大量調達も可能になりました。
 近くは、バブルの時代。銀座の高級バーでも、大金を手にした不動産業者など、多くの金持ちで賑わったとされています(私は行きませんでした。いや、行けませんでした。)。私の住む埼玉の奥深くにある幸手という田舎町でさえ、夜中の1時頃でも近くのバーのママが店がはねた後、ホステスたちを引き連れ、ラーメン店などにやってきて、飲みなおしをしていたものです。でも、今は、その面影もその匂いもありません。夜10時ともなれば、ほぼ真っ暗。キツネや狸がうろついていても不思議ではありません。
 為政者に言いたい。税収を上げるのは、消費税など税率を上げることによって実現するのではなく、みんなが喜んで遊んでいるうちにお金を使い、その結果として、税収が大幅アップしていた。そういう方法で税収を徴収することこそ、最良最善の政策なのです。財務省的発想は、余りにも知恵がなさすぎます。答えのあるペーパーテストに慣れ親しんだ、想像力欠如のおぼっちゃま集団。経済のことは知らず、法律の条文とにらめっこしていた学校秀才。それが財務省という組織です。たまには織田信長や池田勇人元総理の手法を見習い、経済の活性化を図って頂きたいものです。

レーガン・トランプ政権も同じ

 最近読んだ在米ジャーナリスト日高義樹氏(元NHKワシントン特派員)の「日本人の知らないトランプのアメリカ」という本に、次のような記述がありました。先ず、レーガン大統領に関する記述です。

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レーガンの経済政策

 サプライサイダー理論にのっとったレーガン政権の経済政策は、減税と金融緩和によってアメリカの資金を潤わせるというものだった。購買力を高めれば、その購買力を埋めるために生産活動企業活動が追いかけるというのがサプライサイダーの論法である。
 この経済活動がみごとに的中し、レーガン政権はジミー・カーターの石油危機を乗り切れなかったアメリカ経済を救ったのである。私はこの時のことをありありと思い出すことができる。カーター時代、町を走っていたぼろぼろの古い車に代わって新車が多く見られるようになった。扉を板でふさがれ放棄されていたワシントン市内のビルが次々に改築されていった。

 また、日高氏は、トランプ政権についても、次のように述べています。

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トランプの経済政策

 トランプが登場してわずか1年の間にアメリカの企業は、きわめて楽観的になり、めざましい業績をあげ始めている。これがウオール街の歴史的な株価の上昇、住宅などの資産の価格の上昇につながっている。
 トランプの政策は、レーガンのサプライサイダーの論理に基づく経済政策に匹敵する大きな力を示し始めている。アメリカの株価の上昇ぶりや、不動産価格の回復、そして企業業績の向上といったものが、トランプの強い自信に裏付けられた経済政策のおかげであることは明確である。

 NHK特派員として長くアメリカの実情を見てきた著者が、このように記述しているのです。チビチビケチケチした経済運営ではなく、レーガンやトランプのように、1年単位の収支を見るのではなく、経済を盛り上げ、長期的視野で財政のバランスがとれればよい、という大局的な政治をやれる政治家こそ、胆力のある、本物の政治家と言ってよいでしょう。

消費増税こそ未来の子供たちにツケを回すこと

投資なければ

 消費税をめぐっては、「将来世代にツケを回すな」なんてことを言う人がいます。消費増税をせず、財政均衡を図らないと、そのツケが将来世代に回ることになる、というわけです。何を言っているんでしょうか。今ここで消費増税をすれば、家計は財布のひもをキュッと引き締めます。デフレ状況はさらに悪化し、消費の低迷を招きます。これは過去の消費増税に際し、すでに2回経験した明白な事実です。それこそが将来世代にツケを回すことになるのです。
 今やるべきは、国債の大幅発行により、幼児から高校卒業までの教育費を完全無料化(大学生は、選抜でもよい)するとともに、社会インフラの整備や防衛費、科学技術研究投資に大胆に「投資!」することです。教育費も、公共投資も、科学技術研究投資も、必要な長期投資なのです。投資は、回収可能ということです。教育費は、その投資により、将来世代が投資に見合う以上の税金を払ってくれる、超優良な長期投資案件なのです。満足な教育も受けず、その辺のコンビニの前でうんこ座りをしてぶーたれているバカ息子を大量生産するのも一方。教育投資により、きちんとした教育を受けさせ、立派な社会人に育て、しっかり税金を払ってもらうのも一方。どちらがいいのか答える必要もないでしょう。
 道路や河川、海岸、鉄道、水道など公共投資も、立派な長期投資です。長期に渡って恩恵を受ける永続性のある投資なのです。決して、今の世代だけが恩恵を受け、将来世代にツケ回しをするものではありません。先人が投資によって作ってくれた新幹線や高速道路、今の世代も十分に恩恵を受けているではありませんか。科学技術研究投資も全く同じ性格のものです。
 同様に、防衛費だって、立派な長期投資です。一般に、国の守りの弱い国は発言力も弱いのは国際社会の常識です。防衛力のない国は、北朝鮮や韓国のような低級低俗な国からさえ馬鹿にされます。経済発展し防衛力がもっと強ければ、拉致被害者だってもっと早く取り戻せたのです。竹島だって、保安隊さえない日本の占領下の時代に、かすめ取られたものです。軍事力がないというのはこういうことです。中国が日常的に尖閣諸島周辺の領海侵犯を繰り返すのも、日本の防衛力が弱いことを知っているからです。何度「遺憾の意」を繰り返しても、止むことはないのです。
 近い将来、中国による沖縄・尖閣諸島侵略が現実化する可能性も決して低くありません。国の防衛力に益々差が開きつつあるからです。国際関係は冷酷です。弱肉強食の世界です。防衛力の裏打ちとなるのは経済力です。経済力が弱ければ、防衛費に回す予算も取れないのは自明です。
 米中貿易戦争により、中国の国力は若干衰えるでしょうが、覇権主義を信奉する独裁国家は、軍事力増強をやめることはないでしょう。民は飢えても、ケインズ理論により、公共投資、防衛力の増強に努めるはずです。かの国は、幾多の興亡を繰り返す中で、力、防衛力こそが、国の繁栄につながるということを肌感覚で知っているのです。日本は、そういう野蛮な国々に囲まれて日々暮らしているのです。

消費増税で安倍政権は完全に終わります

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 私は、これまで断固として安倍政権を支持してきました。総理後継候補と目される人物の中に、安倍総理を超える能力を持った人物がいるようには思えません。従って、今は安倍政権を支持していますが、最近における入管法の改正による事実上の移民政策、水道法の改正、種子法の改正、更には反日左翼による日本分断工作の匂いがプンプンするアイヌ新法の成立、中国のすり寄りに対して唯々諾々と受け入れる姿勢などを見ていると、安倍総理の変質、微妙な体質変化に神経質にならざるを得ません。
 そのダメ押しをするように、今年10月1日、消費増税までするということになれば、私は、安倍政権支持を変えざるを得ません。その時安倍政権は完全に終わる、と確信します。
 どうか、安倍総理には、憲法改正、電波オークションを含め、真に必要な政策を毅然として実行していただきたいと思います。また、尖閣諸島への領海侵犯、南シナ海での国際法を無視した海洋進出、台湾への恫喝、そして自国民であるチベット、ウイグル人に対する弾圧、進出企業に対し技術移転を強要し、資本移動の自由を認めない覇権主義独裁国家に対し、すり寄るような行為は、やめて頂きたいと思います。トランプと手を携え、中国をごく普通の自由民主主義国家にすべく努力していただきたいと思います。(H31・2・26記)

▶▶▶三橋貴明の「お金とは何か?」

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