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日本復活のためには財務省再編が必要

日本復活のためには財務省再編が必要

しょぼい15兆円減税案

岸田

 岸田政権は、やっと減税案を出しました。15兆円の減税案です。国民が望んだのは、ずばり「消費税減税」です。庶民にとって、日々の買い物の都度感じるのは、消費税による重税感です。この消費税は、買い物をするたびに罰を課せられるように思えるからです。特に、一般の消費者にとって、食料品に課される消費税の負担感は相当なものがあります。
 しかもこの消費税、貧困層ほど重税感があるのです。なぜなら数千万単位の収入がある人も、年収200万程度の収入がある人も、買い物をする際に支払う消費税額は全く同じだからです。つまり、消費税は低所得の貧困層泣かせの税金なのです。
 だからこそ、庶民にとって消費税の減税こそが、最良最善の減税になるのです。ところが実際には、そうならない。岸田総理の口からは、一言も「消費税減税」の言葉が出てきたことはありません。
 なぜか。消費税減税案については、財務省が政界や財界、マスコミに手を回し、「ご説明」し、抑え込んでいるからです。特にうるさいマスコミに対しては、8%の軽減税率を適用し、黙らせています。

長期停滞の主犯は財務省

 よく知られているように、日本はすでに30年もの長期にわたり経済が停滞してきました。アベノミクスにより、一時的に経済が浮揚した時期もありましたが、二度にわたる消費税アップにより、その都度腰折れされました。民主党野田政権下で行われた民主、自民、公明の「3党合意」に縛られ、それを拒否できなかったからとされています。いずれにしろ、この合意も、長期かつ安定的な財源確保を熱望する財務省が後ろ盾になって推進したことは間違いありません。
 財務省は、予算の徴収権と配分権と税務調査権を持っており、これこそが力の源泉です。家庭でもそうですが、「財布」を握っている者が一番力が強い。欧米と異なり、多くの日本の家庭では、主婦が家計の実権を握っています。夫は、毎月、妻から3万程度の小遣いをもらい、汲々と生活しています。当然、家庭内において妻の発言力の方が大きくなります。それと同じです。しかも、財務省は、「税務調査権」という名の強力な「捜査権」も持っています。
 家庭内で、主婦が徴収権と配分権のほかに、適正に使ったかを調べる調査権まで持ったらえらいことになります。浮気や賭け事など素行まで調べる調査権を持たれたら、少なからぬ亭主族は身が縮むことになります。財務省は、このような巨大な権限、利権を握っているのです。財務省が、神のような存在で、日本の財政と経済を「清く正しくあるべき方向に」誘導してくれるならそれでも構いません。が、いかんせん今の財務省は、国益よりも省益、利権を優先する体質があり、しかもその目指すべき正しい方向を向いていない。これこそが日本の大きな不幸なのです。

財務省の理念は財政健全化

 彼らの信じる最高の理念は「財政健全化」です。「プライマリーバランス(基礎的財政収支)至上主義」と言ってもよいでしょう。プライマリーバランス(以下「PB」)とは、収入と支出は均衡しなければならないとするもので、「国の支出は収入(歳入)の範囲で賄わなければならない」とするものです。
 その典型例は、矢野康治財務事務次官の発言です。彼は、月刊誌「文芸春秋」11月号で、最近の政策論について「国庫には、無尽蔵にお金があるかのような話ばかりが聞こえてくる」などと批判し、財政健全化路線を強調したのです。ここに財務省の基本姿勢が表れています。
 この考え方は、一見、正論のように見えます。収入以上の生活をすれば家計は破綻します。国家も同じだとすればその通りで、高名な経済学者や評論家、マスコミにも、同調する意見が多くみられます。

家計と国の財政は違う

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 しかし、このような財務省の唱えるPB論は、正しいのでしょうか。家計を前提とするなら正しい論理です。しかし、家計と国家は根本的に異なります。何が異なるのか。それは、次の3つの点に集約できるでしょう。
 ①国は、必要に応じてお金を印刷し、又は国債を発行する権限がある(紙幣と国債の発行権)
 ②国が必要とするお金を税金という形で国民から強制的に徴収する権限がある(徴税権)
 ③国家には国民を豊かにするという政治的社会的使命がある(社会的使命)
 1の、お金を発行する権限とは、紙幣や硬貨の発行権限です。家計がお札を印刷したら重罪です。しかし国は、いつでも必要とされるだけのお金を印刷し、または国債発行という形で必要な資金を調達することもできます。
 2の、徴税権も絶大な権限です。社会保障や公共事業、教育、基礎研究、防衛など、必要となる費用を国民から徴収することができるのです。私が近所にお金が足りないから金をくれといったら、警察が来るか精神病院送りかのどちらかになるでしょう。
 3は、言うまでもなく経済です。国は、「国民を富ませ、生活を豊かにする使命」をもっています。デフレ状態を30年近くも続けている国など、本来、国民から「NO!」を突き付けられて当然です。縛り首にも相当する重罪といってもよいでしょう。国民を豊かにするという使命を全く果たしていないからです。財務省と御用学者、マスコミなどが、家計論を前提に、洗脳工作を続けてきたためです。
 このように、家計と国の財政とは、月とスッポンほども違うということを認識しておくことが必要です。

常に代替財源を要求する財務省

 財務省は、PB論を掲げ、常に歳出の話が出ると、必ず「それに見合う財源はどこにあるか」という論を展開します。これこそが経済の本質を分かっていない者の主張です。消費税を5%少なくしたら、減収分以上に税収が増える、という単純な理論が理解できないのです。いや、本当は理解できても、そうならなかった時のことが心配で仕方がないのです。
 景気の「気」とは、気分の気です。好景気は、モノやサービスが活発に動いていることを意味します。好景気になれば、人々は活発に消費活動を行います。消費が活発になれば、企業の利益が増える。企業が潤えば、従業員の収入も増える。そしてその収入増は消費を促し、税収増になる。つまり、正の景気循環が生じるのです。
 財務省は、この単純な景気理論を決して理解しようとしないのです。
買い物をするたびに、罰としてビンタを食らわせるような制度を維持し、なお一層消費税引き上げを画策するのが財務省なのです。過去4回の消費税アップ時に、景気が落ち込んだという実例を見ようともしないのです。

財政の健全性はバランスシートで見る

 国の財政が健全であるか否かは、バランスシートで見て判断する。余りにも当然のことです。そのことは、この欄で何度も説明してきました。資産と負債と純資産のバランスが取れていれば、何の問題はないからです。それなのに、財務省は、常に、「国の借金は○○兆円になった、赤ん坊まで含め一人当たりの借金は○○万円だ」式の説明をします。つまり、バランスシートの右側の「負債」の部しか言わないのです。最新のデータで言えば、2023年5月10日に財務省が発表した国の借金は1,270兆円、人口は12,570万人ですから、一人当たり1,010万円ということになります。
 マスコミも、この状態を見て、「将来の子供たちに借金を残すな」式の解説をします。財務省のおめこぼし、軽減税率の恩恵をこういった解説でお返ししているのです。
 しかし、この借金、この欄で何度も説明しているように、国民の借金ではありません。誰かの借金は誰かの資産です。つまり、この1,010万円に見合う資産は国民の側にあります。資産であって借金ではありませんから、返済を迫られることもありません。国債の償還期限が来たなら、その都度日銀が買い取ります。日銀は国の子会社ですから、連結決算すれば、日銀が買い取った分は、国が買い取ったのと同義になります。国は形式上、債務償還金として支払った形を取りますが、日銀は同額を国に納入します。つまり、日銀が国債を買い取った段階で、事実上、国の債務はなくなっているのです。
 要するに、バランスシートから国の財政状況を見るなら、極めて健全な超優良な財政状況にある、という結論になります。超優良国の国債だからこそ、マイナス金利でも日本国債は、飛ぶように売れるのです。もちろん、今後は、インフレが加速することが予想されるので、今までと同じように国債が飛ぶように売れるとは限りません。国債よりも魅力的な金融商品が出てくることが予想されるからです。

財政法4条を改正せよ

 財務省が消費増税をするための名目は、常に「財政健全化」「PB論」といった指標です。その法的根拠は、財政法4条です。ここには、次のように書かれています。

財政法第4条

 国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。但し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる。

 単純にこの規定を読むと、第4条但書により公債(国債のこと)を発行できるのは「公共事業費、出資金、貸付金」の3つだけ、ということになります。しかし、嘉悦大学教授の高橋洋一氏によれば、教育費や科学技術費などもこの第4条の解釈で読めるというのです。
 その根拠については、小村武・元大蔵事務次官の「予算と財政法」(三訂版)の101ページに次のように解説されているからです。

「財政法第4条第1項ただし書きは、公共事業費、出資金及び貸付金の財源となる場合に例外的に公債発行又は借入金を許容している。これらはいずれも消極的支出ではなく、国の資産を形成するものであり、通常、その資産からの受益も長期にわたるので、これらの経費については公債発行又は借入という形でその財源を賄い、その元利償還を通じて後世代にも相応の負担を求めることを許しているものと考えられる。」(アンダーラインは筆者)

 この解説書の著者は、元大蔵次官の個人名になっていますが、財政法の逐条解説として、財務省主計局のバイブルとされてきたものです。しかも、その後も逐次改訂されており、事実上の公式見解と言ってもよい、と高橋氏は述べています。

税務調査権を分離せよ

 前述したように、財務省の力の源泉の一つは、税務調査権です。財務省は、自分たちの省益を実現するために、この税務調査権をフルに活用しているのです。異論を抑え、黙らせる力を持っているのです。

鬼より怖い

 普通のサラリーマンなら勤務先の企業が確定申告の代わりをしてくれますが、企業の経営者は、自ら申告しなければなりません。税制は複雑で容易に理解できません。必要経費の範囲なども、一般の人には分かりにくい。この複雑で分かりにくいということを武器に、財務省は「税務調査権」を行使するのです。
 この税務調査権を行使されれば、国会議員と言えどもビビらざるを得ません。先日、神田財務副大臣が過去4回、税金滞納で差し押さえを受けていた、なんてニュースが流れていました。週刊文春が元ネタです。とんでもない破廉恥大臣です。しかし、こういったニュースはどこから流れるのか、またその背景は何か、ということを知らねばなりません。
 私見ですが、このニュースは、岸田政権に見切りをつけた財務省がリークしたものとみるべきです。岸田政権は、さまざまな施策を繰り出すも、一向に支持率が回復せず、最低水準をウロウロするばかり。消費増税にも意欲がない、よって、この政権は支えるに値しない。そう踏んだからこそ、政権のマイナスになる情報をリークした、と考えるのが正解でしょう。
 このように、財務省は、国益よりも省益を優先しているのです。この省益を実現するため、防衛省や公庫、公団などの会計課長ポストを抑え、意のままに操っているのです。日本のあるべき方向を志向せず、省益優先で政界、官界、マスコミを操る財務省。その力の源泉となる税務調査権程度は、財務省から切り離すことが今求められているというべきです。(R5・11・11記)

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