時事寸評 書評コーナー

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三菱自動車よ、おまえもか

三菱自動車よ、おまえもか

VWを非難できない

 高い技術力を誇るドイツ車のVWの不正燃費事件が露見したとき、世界が驚愕しました。不正ソフトを組み込むことによって、燃費試験を行うときには、排出ガスを抑え、一般道を走るときは、規制値を上回る排出ガスを出す、というんですから悪質です。しか
も、その悪質なデータねつ造を、あのドイツを代表するVWがしていたというんですから、世界中が驚いたのも無理はありません。

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 しかし、三菱自動車は、同じ不正行為を25年も前からやっていたというんですから、口あんぐりパカパカです。
 この三菱自動車、過去にも大規模なリコール隠しをして社会的批判を浴びたことで知られています。その時は、生産ラインが止まるというところまではいきませんでした。しかし、今回は、一気に生産停止まで追い込まれまてしまいました。

傷つけられる日本人の誇り

 一連の三菱自動車のありようは、日本人の誇りを大きく傷つけたと思います。そして、日本人全体の中に、「今の日本は、社会のあらゆる場面でタガが緩み始めているのではないか」という漠然とした不安感が漂い始めているように思います。そう思わざるを得ない、具体的な事例をいくつか紹介してみましょう。

① 関西電力高浜原発4号機(福井県高浜町)が発電・送電作業に入るというので、多くのマスコミが集まっていました。その中で、担当者が始動ボタンを押した途端、中央制御室に警報音が鳴り響き、モニターには原子炉の停止を示すランプが点灯しました。慌ただしく確認作業に追われる運転員らの大きな声が交錯し、原子炉は自動停止しました。現在は、何とか再稼働に漕ぎつけたようですが、国民が原発に神経質になっている折、マスコミを呼んで再稼働を披露するんですから、「事前にちゃんと準備をしておけよ!」と、言いたくなるのは私だけでしょうか。

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②三菱リージョナルジェット(MRJ)は「YS11」以来、約50年ぶりの国産旅客機です。その開発に政府が約1,500億円の開発費の3分の1弱を補助する、国家的プロジェクトでもあります。しかし、このMRJ、初飛行には成功したものの、翼の強度に関する不具合が見つかり、その後の試験飛行は見合わされてしまいました。以来、2回目、3回目の試験飛行がなされましたが、その都度、不具合が見つかり、未だに、本格的な試験飛行はされていません。納入時期も4回も延期され、当初見通しから5年も遅れるという、停滞ぶりです。
③日本を代表する日立や東芝の不正会計問題も、日本人の心を傷つけました。不正会計なんていう言葉を使っていますが、実態はまさしく、会計処理をごまかした「粉飾決算」そのものです。不正会計という用語は、マスコミがこれらの大企業に遠慮して使っている用語にすぎません。ホリエモンの会社では、これと同じことをして、「粉飾決算」として断罪され、刑務所にぶち込まれたではありませんか。日本のマスコミは、大企業にはなぜこれほど甘いのでしょうか。理由は分かってますけどね。

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④インフルエンザ予防ワクチンを製造する「化学及(および)血清療法研究所」(化血研、熊本市)が40年も前から、国が指定する製造方法とは違う方法で製造していたなんていう事件もありました。
 化血研に110日間の業務停止命令が出されましたが、患者らに影響が出ないようにするという名目で、全35製品のうち処分対象とされたのは8製品に限られました。このような悪質な企業を潰せない、というのは到底信じがたいことです。「やり得」を見逃したツケは大きいと思います。 
⑤オリンピックのメインスタジアムになる、国立競技場の聖火の位置決めを忘れていた、なんて事態も、あっけにとられて見ていました。すったもんだの末、新たな国立競技場の設計図ができたまではよかったものの、聖火台の位置が決まっていなかった。「私は当然決まっているものと思っていた。なぜ入っていないのか分からない。設計変更が必要になる」、なんて話をオリンピック担当大臣(!)から聞かされるとは思いませんでした。
⑥山手線に新型車両E235系を導入した際、初日からトラブルを起こし、運行を休止するなんてこともありました。JR東日本は「修正が終わるまで、当分は運行を見合わせる」としています。13年ぶりの刷新として鳴り物入りでデビューしましたが、3駅でブレーキ異常などを起こし、乗客約700人を30分間缶詰め状態にしたのです。これだって「事前に十分点検したんじゃないのかよ!」と言いたくなります。

制度疲労が原因か

 これら一連の事案に共通している問題は何か。私は、日本人の心の中から「生真面目さ」や「律儀さ」、「堅実さ」が失われつつあるのではないか、と思っています。1964年(昭和39年)のオリンピック開催時のように、あれほどの巨大な国家的行事を、ほとんど大きなミスもなく遂行した日本人の律義さ、誠実さ、堅実さがどこかに失われつつあるように思えてならないのです。

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 これらの事案に共通しているものは何か。二つの理由が考えられます。ひとつは、すべて「巨大な組織」によって行われている、ということです。よく言われることですが、「どのような組織でも30年経つと腐る」という事実です。
 創業時は、本田総一郎や松下幸之助のように、進取の気性とバイタリティに裏打ちされた優秀な創業者の高い経営理念によって、企業業績は飛躍的に伸びます。しかし、企業が大きくなり、大卒の従業員が大半を占めるようになると、多くの企業は次第に傾いてきます。「寄らば大樹の陰」志向の社員が増え、上司のご機嫌をとるヒラメ社員やことなかれ主義の社員が増えてくるからです。
 巨大組織という点では、役人の組織も同じです。石破茂大臣の法案の趣旨説明が全く別の法案の説明だったなんてこと、これまでの官僚組織では考えらないような初歩的ミスです。制度疲労の証と言ってもよいでしょう。

コンピュータ化も原因のひとつ

 もう一つの理由は、社会のコンピュータ化です。高浜原発やMRJ、それに山手線のトラブルなど、巨大なシステムを運用するためには、コンピュータの機能と密接不可分です。コンピュータなしには、何も出来ないのです。

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 そのコンピュータ、基本的には、プログラムによって動きます。プログラムは人間が作るものです。巨大なシステムを構築するためには、何万行、何十万行のプログラムが必要になるでしょう。そのプログラム、どこかにプログラムの設計ミスがあると、正常には作動しません。しかも、このプログラムを作成するプログラミング、専門家でなければ到底作成できません。
 他方、官僚や大企業に入社してくる社員は、法学部や経済学部など人文系学卒者が会社の枢要な地位を占めていたりします。工学部卒であっても、通常は、プログラミングの専門家ではありません。専門の情報プログマーとなるには、別途、高度な知識と訓練が必要なのです。
 一度、事故が発生するとこれら学卒官僚や社員では修正ができないんです。下請けの専門家に「早く直せ」と指示し、あるいは叱り飛ばす以外に方法がないんです。こういった事情も、これら一連の不祥事が発生する背景にあるといえるでしょう。

三菱自動車は一旦解体すべきです

 今回の三菱自動車の不正データねつ造事件。事実が露見してしまった以上、一旦、企業を解体すべきです。このままで救済の手を差し伸べると、その甘えの体質が残ってしまうからです。悪いことをしたら、応分の処罰を受ける。この信賞必罰の精神が欠けると企業はまたユルフンになります。企業とはそういうものです。ここで救済すれば、またいつか、同様の問題を繰り返します。既に、大量リーコールの時に深々とお詫びをしたではありませんか。不正には断固として、対峙する心構えが必要なのです。
 ただ、三菱自動車には高い技術がありますし、多くの従業員、下請け企業があまたあります。隠蔽の事実を知らない多くの関係者が、路頭に迷うということはできれば避けたいところです。
 そのためには、一旦、会社を解体し、他の複数の自動車メーカーに分担して引き受けてもらう、という作業は必要でしょう。そのあたりは正しく行政、とりわけ経産省の出番です。経産省はこれほどの大事件が起きたというのに、国交省のみ前面に出し、他人事のような顔をしていてはいけません。
 一連の再編が済んだ暁には、三菱の経営陣は、全員、退陣していただくことが絶対の条件です。



後日記

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 上の記事を書いた後、今度は、スズキの燃費測定の不正が発覚しました。しかも全16車種210万台だというんです。もう、口をあんぐりさせるしかありません。「ウソを言わない日本人」の武士道精神は、一体どこに行ってしまったのでしょう。
 赤信号、みんなで渡れば怖くない、の世界になってきました。もう、コメントする気力も失せてしまいました。みんな、好きにして・・・。(平成28年5月19日)

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