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稀勢の里、19年ぶりの日本人横綱の誕生です

稀勢の里、19年ぶりの日本人横綱の誕生です

努力で天才に勝つ

 いやあ、長かったですね~。日本人横綱がやっと誕生しました。中学校の卒業文集に「努力で天才に勝ちます」と書いたそうです。それから15年、既に優勝くらいしているものと思っていました。ところが今回が初優勝だったんですね~。

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 稀勢の里の、あの大きな体から流れる涙。堪えていたんですね。日本人らしい涙でした。彼は、「おしん横綱」とよばれた先代の鳴戸親方(元横綱隆の里)から、「将来、横綱、大関になれる」と太鼓判を押され、敢えて猛げいこで知られる鳴戸部屋に入門したんだそうです。
 この稀勢の里、中学校では野球部で、何と4番で投手だったというんですから驚きです。中学2年で角界入りをしたというのに、その時に4番で投手。どうもイメージが合いません。身長は1メートル80、体重は100キロあったそうです。このピッチャー、随分巨漢だったんですね。
 先代の師匠からは、「勝ちたいと思ってはダメ。100番取っても安易な相撲が1回でれば、本場所で必ず間違いが出る」と叱責されたそうです。

安易な相撲とは

 先代師匠の言う安易な相撲とは、「引くこと」ではないか、と勝手に思っています。私は、相撲を見ていて、引く事の多い関取は絶対に大成しない、と思っているからです。ですから引いて勝った相撲は、決して称賛しません。特に、横綱、大関が引いて勝っても、少しも褒めようとは思いません。むしろ「何だ、横綱のくせに」と思ってしまうんです。幕下クラスならともかく、横綱、大関位にもなって、体をかわしたり、引いて勝ってどうするんだ、と思うんです。
 もちろん、舞の海のように小兵の力士の場合は、何でもありでいいと思います。体格をカバーするものはそれしかないからです。舞の海だったら、「猫だまし」でも構いません。でも、横綱の白鵬が「猫だまし」をしたときはガッカリしました。土俵の上には、さまざまな花、つまり見たこともない軽業師のような技があっても構いません。でも、それは小兵の特権です。所詮、横綱、大関にはなれないことは分かり切っているからです。

白鵬の張り手、何とかならないか

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 相撲には決まり手というのがあります。82手です。張り手は決まり手ではありません。横綱の白鵬がこの張り手を乱発するのがとても気になります。千秋楽の稀勢の里戦でも、一発張り手が出ていましたね。8割から9割の確率で、白鵬は張り手を使います。嫌ですね。見ていて不快になります。
 高齢者仲間で酒を飲んだような時も、白鵬の張り手は嫌だという人がとても多いです。日本人の感覚にはなじまないからでしょう。横綱は、ただ勝てばいいという存在ではありません。横綱が出る以上、そこに相撲の美を求めるんです。張り手と相撲の美は両立しません。
 女子相撲では張り手は「禁じ手」とされているそうです。私は、白鵬の人気がいまいち盛り上がらないのは、この張り手の乱発にある、と思っています。

誠実な相撲がいい

 稀勢の里を見ていると、その所作がとてもいいと思います。見ていて美しい。琴奨菊のイナバウアーのような派手な見せ場もない代わり、日本人らしい武骨で不器用そのものの振る舞い、これまで準優勝ばかり繰り返してきたのに、悔しがる表情はほとんど見せません。白鵬さえいなければとっくに横綱になっていたはずです。でも、稀勢の里の表情を見ていると、そういう険しい表情は一切見てとれません。

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 優勝を決め、千秋楽で白鵬に勝った後の涙に、稀勢の里の想いがすべて凝縮されているように私には見えました。日本には「言霊が信じられていた時代」に作られた百人一首があります。その中に、「届かない恋」とか「秘密の恋」といった、人間の内面に根差す表現が数多く使われています。稀勢の里を見ていると、「しのぶ想い」「堪える想い」と言った表現がぴたり当て嵌まるような気がします。自分の想いをストレートに表に出さず、内に秘める。稀勢の里の涙にはそれが溢れているように、私には見えました。
 稀勢の里に宛てたお父さんの手紙には、次のように書いてあったそうです。

・負けて未練残さず
・勝っておごらず

 合気道などと違い、相撲には必ず勝者と敗者がいます。勝者は、負けた力士の気持ちを察しなければいけない。よって、朝青龍のように、土俵上でガッツポーズで喜びを表現してはいけない。これが日本の相撲道なんですね。お父さんは、「勝っても相手の気持ちを思いやれ」と言いたかったんだと思います。
 すでに他界した先代師匠は、「類い稀なる勢いを」との願いを込めて「稀勢の里」というしこ名を授けたそうです。さぞかし、天国の鳴戸親方も喜んでいることでしょう。
 美しい日本人横綱の誕生、万歳!(H29・1・24記)

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