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消費税は5%に戻すべきです

消費税は5%に戻すべきです

落ち込むエンゲル係数

 エンゲル係数というのは、皆さんにも馴染みのはずです。家計の消費支出に占める食費の割合です。エンゲル係数が高くなれば生活が苦しくなったということであり、逆に係数が低くなれば、生活が楽になったということを示す数字です。1人の人間が食べる食事の量は、金持ちだろうと貧乏人だろうとほとんど変わりません。金持ちになったからといって、ご飯に金粉を混ぜたり、人の3倍の量を食べるというわけでもありません。だから、この数値を見れば、国民の生活が苦しくなったか否か、判断の指標になるというわけです。

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 この数値がこの数年、急激に高くなってきたのです。下のグラフで見るように、2013年(平成25年)までは25%を超えることは殆どありませんでしたが、2014年に入ってからは25%を超える月が増えるようになり、2015年になると更にその傾向が顕著になってきたのです。
 このエンゲル係数、嘗てはもっと高い時期もありました。1980年(昭和55年)頃です。当時は29%もあったんです。収入の3分の1近くが食費に使われていたんです。それが経済の発展とともに、急激にエンゲル係数が下がってきて、1995年(平成7年)頃になると、毎年23%から24%台で推移し、以来、約20年ほど、24%を超えることはありませんでした。
 その数値が、急激に上がりだしたのは2013年からです。消費税8%が実施されたのは2014年ですから、その1年前くらいから上昇傾向を強めたということです。そして消費税を8%に上げた時から急激に上昇し始めたのです。端的に言えば、消費税増税による経済の腰折れと表現してもよいでしょう。
 最初に消費税3%が導入されたのは、竹下内閣の時でした。当時はまだバブルの真っ最中で、不況感は感じられない時期でした。それでもその影響は大きく、GDP成長率は6%台から一気にゼロ成長のレベルまで落ち込んでしまいました。ただエンゲル係数には影響を与えず、消費増税後もエンゲル係数は約5年ほど下降を続け、23~24%のレベルで落ち着きました。

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 その後、村山連立政権は、消費税を5%にアップすることを決定し、橋本内閣時にこれを実行しました。これによってGDP成長率はマイナス2%にまで急激に落ち込んでしまったのです。それにも関わらずエンゲル係数は何とか23%から24%の間に留まっていました。
 しかし、安倍内閣において、消費税8%を実施するや、急激にエンゲル係数は上昇を始めます。それまでほぼ20年間、23~24%の枠内に収まっていたエンゲル係数は25%ラインを突破し、ほぼ26%ラインまで急上昇しつつあります。数字の上からは、一般庶民の生活は急激に悪化しつつあるということを示しています。
 こういう状況の中で、政府は、消費税10%の旗を降ろしていません。2019年10月には必ず消費税を10%にする、と確約したのです。安倍総理としては、2014年に一度増税延期をしており、更に再延期ですから、次は3度目の正直で「必ず実行する」と言わざるを得なかったのでしょう。その立場は十分に理解できます。
 しかし、消費税というものがこれほどに国民生活に大きな影響を及ぼすということになれば、消費税のあり方、あるいは経済の在り方を根本から見直す必要があるのではないでしょうか。

消費税は5%に戻すべき

 私は、消費税を8%から5%に戻すべきだと思います。本当は3%に戻したいところですが、そこまでは言いません。これは心理的な要素が大きいと思いますが、消費者の感覚からして、8%というのは負担感が大きいんです。5%と比べ、心理的にも大きな違いがあります。まして、これが10%ということになれば、その負担感は一気に増大します。家計が防衛姿勢をとることは火を見るよりも明らかです。
 北欧諸国のように、仮に税率が25%でも、受ける恩恵は絶大です。例えば、デンマークの場合、教育費は大学まで無料。医療も全て無料、死ぬまで介護も無料。住宅も全世帯数の25%が国営ですから大体無料です。ですから「老後の資金」は必要ありません。生命保険も必要ありません。もちろん、国民年金も厚生年金もありません。預金も必要ありません。これなら、消費税率25%でも十分に納得できます。
 日本のように、「国の借金が1,000兆円を超した。1人当たりの借金額は一人当たり830万円だ。増税しなければ国が持たない。」というような理由で、「よって消費税アップが必要だ」と言われたら、納得できるか、ということです。今のような経済状況下で、しかも、将来に大きな不安を抱えたまま、消費税アップを言われたら、消費者心理が悪化するのは当然です。

今の経済状況

 2017年1月の主要な経済指標によれば、全国消費者物価指数は、前年同月比で0.1%上昇していました。1年1か月ぶりにプラスに転じたというわけです。しかし、この物価上昇は原油価格の持ち直しなどが原因になっているもので、個人消費に支えられたものではありません。

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 消費者物価がプラスに転じた一方で、同じ家計調査によれば、1世帯(2人以上)あたりの消費支出は27万9249円と、物価変動の影響を除いた実質で1.2%減少しています。11か月連続で前年を割り込んでいるのです。これは賃金上昇の実感が乏しいほか、社会保険料などの負担増や年金への不安から、家計が消費を控えているからと見られています。
 物価という面だけ見れば、今後しばらくは上昇基調が続くことは間違いないでしょう。原油価格が底値を脱し回復軌道に乗っていることと、円安による輸入品価格が値上がりしているからです。
 この物価上昇は、消費者の購買意欲が増大したからではありません。あくまでも外的要因によるものです。本来の物価上昇の狙いは、アベノミクスの3本の矢がきちんと効果を発揮し、そのうえで消費が刺激され、物価も上がる、という筋道だったはずです。
 日銀の黒田総裁はよく頑張ったと思いますが、金融政策という一本の矢だけでは 脱デフレを行うことはできません。黒田総裁も、実質的には白旗を掲げたと言ってもよいでしょう。
 こうした状況の中で、さらに消費税を上げようというんですから、もはや何おかいわんやです。

質素倹約思考から抜け出ていない財務省

 なぜ、このような悪循環から抜け出すことができないのか。その原因は、財務省の企図する「財政均衡主義」「プライマリーバランスの保持」という亡霊です。具体的には、財務省が、消費税を上げることによって、財政の均衡を図ろうという考え方に取りつかれているからです。
 もちろん、財布を預かる立場の人間が、財務の均衡を図ろうとするのは間違いではありません。問題は、その財政の均衡を、消費増税によって実現しようとしている、そのことが問題なのです。
 財政の均衡を図る方法には、決して解決策が一つしかないわけではありません。解決策は常に複数あるのです。税収を増やすためには織田信長が用いた楽市楽座のような手法もあるし、松平定信のような質素倹約を強要する手法もあるということです。

国の財政と家計は異なる

 財務省は、松平定信的な発想から抜け出ていない、ということなのです。国の財政を個人の家計と同じレベルで考える発想から抜け出ていないのです。確かに、個人なら、収入に応じて生活するのは当然です。年収が300万円なら、その範囲で収まるように切り盛りします。ローンで家を買う場合も、収入に見合った返済計画をたてます。

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 しかし、国の財政は、個人とは明らかに違います。大きな違いをあげれば次の通りです。
① 国は自分でお金を刷ることができます。輪転機を回すことでお金を印刷することができるんです。個人がお金を刷れば、お手々が後ろに回ります。
② 国債という形で借金したお金は日銀に買い取らせ、そのまま預かってもらうことができます。しかも、国債として預かった日銀は、決して国に対してその国債のお金を払ってくれとは言いません。誰か、日銀が国に対して「金を返せ」と言ったのを聞いたことがありますか。
③ 国にお金が足りなくなったときは、税金という形で収入を増やすことができます。納税は国民の義務ですから、払わないということはできません。個人が会社に「金足りなくなったからもっと払え」と言ったら、「明日から来なくていい」と言われます。
 この3つを見ただけでも、個人と国は全く違うことは明らかです。しかも、個人は借金が膨らみ、返済不能となれば、破産するか首を吊るしかありません。しかし、国は、いくら破産しても国がなくなるということはありません。国土と国民がいる限り、生存し続けるのです。この点でも、国と個人は違います。
 このように、国と個人、つまり国の財政と家計は根本的に異なるのに、財務省は常に家計と同じレベルで比較しようとします。また、マスコミも財務省に追随し、あるいは意を受け、同じように危機感を煽ります。思考の原点として、先ず、この出発点から変えていかなければ、我が国の経済は死の淵に沈み、浮揚することはできないでしょう。

財政はバランスシートで見るべき

 国の財政は、バランスシートで見るべきは当然のことです。然るに、マスコミ報道では、なぜか常に「国の借金」と「一人当たりの借金」ばかりが強調されるのです。これは本当に国民を馬鹿にしています。資本金の小さな会社でさえバランスシートの作成を求められます。NPO法人でさえ、バランスシートの作成を義務付けられるようになりました。

図1

 さすがに国も、隠しきれずに2006年からは、バランスシートを示すようになりました。右に示した表は、平成24年度と25年度の対比を示した国のバランスシートです。これによれば、国の資産と負債の差額、つまり国の借金は451兆円ということになります。
 財務省やマスコミが喧伝している借金1,053兆円なんていう数字は出てきません。確かに負債だけを見れば、1,314兆円ということになりますが、家計ですら、借金だけを見る人はいません。借金が1,000万円あっても、貯金が800万円あれば、それほど心配いりません。借金の額だけを示すやり方はもうそろそろやめてほしいものです。

計上されていない資産も多い

 しかもこのバランスシート、まだまだ大きな欠陥がありそうです。例えば、日銀が連結決算の対象に入っていないのです。日銀は、形式上、認可法人という体裁をとっているため、連結決算の対象から外したということかもしれません。
 でも、日銀は、日銀法により55%を国が出資すると定めた法人です。実質的には国の子会社なのです。民間企業の場合、連結決算においては子会社も含めて連結決算書を作成します。国のバランスシートには公債として661兆円が計上されていますが、これは連結決算表で作成すれば、国にとっては負債、日銀にとっては資産として計上されるべきものです。従って、連結決算で作成すれば、差引ゼロになります。
 また、この表には計上されていませんが、外国為替資金として、別途、資産の部に157兆円が計上されています。為替の大きな変動があった時に対応するものです。しかし、日本は、変動相場制の国です。原則として、為替の介入はしないことになっています。過去52か月間、つまり5年以上、為替に介入したことはありません。ですから、そのための資金である外国為替資金も、処分しようと思えば全額処分可能なものです。国の資産に計上してもおかしくないお金なのです。
 また都市再生機構などの保有する賃貸マンションなども沢山ありますが、国の資産として計上する考えもありだと思います。

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 更に、高橋洋一嘉悦大学教授によれば、国の「徴税権」も資産として計上すべきだと述べています。毎年の税収を資産として評価した場合、いくらに評価されるか、という金額のことです。国の税収は、単年度の収入だけでなく、毎年、この程度の税収を見込めます。その税金徴収の権利(=徴税権)を第三者が買うことができるとした場合、いくらと評価されるか、ということです。商標権と同じく、財産価値を評価したものが資産ですから、徴税権を資産として評価することには合理性があります。
 高橋教授は、通常、この資産価値の倍率は、10倍から15倍で評価するのが普通だと言います。これを国の税収に当てはめてみると、毎年の税収(一般会計予算)は約65兆円ですから、徴税権評価額は650兆円から970兆円ということになります。高橋教授は、750兆円と評価しています
 これらを勘案すると、実質的な国の借金はほぼゼロ、いやそれどころか資産の方が負債を上回っている、と言ってもよいかもしれません。いずれにしろ、このあたりの評価に関しては、専門家の評価に任せるべきかと思います。
 因みに、経済評論家の高橋洋一氏、上念司氏、三橋貴明氏なども、国の借金は実質上100兆円レベルだと主張しておられます。また、青山繁晴氏も、財務省は、実質上の借金は100兆円であることを認めた、との主張をされています。このあたりが正解なのかもしれません。だからこそ、国際的な非常時に円高になり、借金大国だ、財政赤字が大変だ、と言いながら円が暴落しないことも、すべて理解できますね。まさしく胃の腑にストンと落ちるように、全体像が理解できるではありませんか。

国会は何を審議しているのか

 このように見てくると、私には消費税を上げなければならない理由が見当たらないのです。経済を活性化するためには、むしろ消費税を5%、できれば3%にさえ戻すべきだと思います。
 消費税を減額できる根拠を勝ち取れば、野党だって大きな得点になります。自民党だって、野党の攻撃によって、譲歩したという体裁をとりながら消費減税を図れるんですから、双方にとって、決してマイナスにはなりません。
 ところが、国の予算のあるべき姿を議論する国会の予算委員会は、明けても暮れても森友学園一色です。文字通り、週刊誌が喜びそうなネタ満載です。
 確かに森友学園は、問題の多いいかがわしい学園です。国有地の払い下げ価格が大幅に値引きされているのも不思議です。また、籠池泰典理事長の狸ぶり、狡猾さ、教育者の風上にも置けない性悪親父だと思います。こういう人間が跋扈する状態を見過ごすわけにはいきません。学園の設立も不認可にすべきだと思います。

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 ただ、私が言いたいのは、この森友学園問題を連日朝から晩まで議論することが国益にかなっているんですか、それは予算委員会の仕事ですか、ということです。

朝日新聞なども超格安で払い下げ

 国有地を安く払い下げたことが国家の重大事だというなら、築地にある朝日新聞の社有地の払い下げ、読売新聞社への払い下げ、更にはNHKへの払い下げ時には、もっと巨額の超格安払い下げが行われました。また、朝鮮人学校への土地の賃貸借、超格安で行われています。なぜその時には野党は追及しなかったんですか。あるいは、なぜ、超破格行われている賃貸契約が追及されないのですか。公平性を欠いているのではありませんか。
 築地にある朝日新聞本社は、1975年に浜田山の自社所有物件を官舎にするため交換するという条件で、坪200万円はくだらない国有地を坪56万円で払い下げてもらったんです。72%OFFの値段です。国民は決して忘れていませんよ。朝日新聞は、自社の社有地については、これほどの超格安で購入しておきながら、森友学園について攻撃する資格があるのでしょうか。こういうのを天に唾する行為、と言います。
 しかも、この朝日新聞が保有していた浜田山の土地は、遺跡が出て調査のためしばらく上物を建てられなかった、というオチまでついているんです。

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 予算委員会というのは、高給を食んでいる国会議員が集まり、国の予算案を審議する場です。週刊誌レベルの、面白おかしいスキャンダルネタを取り上げる場ではない筈です。籠池理事長の顔を見ていれば、いくらでもスキャンダルネタは出てくるでしょう。でも、私たち国民は、予算委員会という場で、森友学園問題が、国家の一大事の如く取り上げられていることに、大きな疑問を感じています。森友学園の教育内容の画像が出てくるなら、朝鮮人学校における反日教育の内容も出すのが公平というものです。
 一日も早く、本来の予算の審議に戻り、どうしたら日本の経済を回復軌道に戻すことができるのか。消費税はどうあるべきなのか。その方向での議論がなされることこそが、納税者たる国民の生活向上に資することだと思います。スキャンダルネタばかりを追い求めている野党に猛省を促したいと思います。(H29・3・11記)

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