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「いざなみ超えの景気」は真っ赤なウソです

「いざなみ超えの景気」は真っ赤なウソです

実感と程遠い戦後最長の景気

 政府は、先頃、月例経済報告を公表し、景気の拡大期間が74ヶ月(6年2ヶ月)に達し、戦後最長になった可能性が高いとの認識を示しました。74ヶ月という期間は、これまでの最長であったいざなみ景気を超えた可能性が高い、というわけです。これまでの最長であったいざなみ景気は、2002年2月~2008年2月までの期間で、小泉政権当時のことです。

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 私は、現在75歳、これまで岩戸景気やいざなぎ景気、バブル景気、いざなみ景気を経験してきましたから、景気の良い状態がどういうものか、皮膚感覚で分かります。1年ごとに給料が20%も上がったり、不動産価格が年に30%も上がったりなどという、今では信じられないようなことが多々ありました。銀行の金利は6%以上が当たり前で、住宅金融公庫の5.5%という金利が割安に感じられたものです。
 そういう私の実感からして、今回の「戦後最長の景気拡大期」なんて言われても、全く実感が湧きません。それどころか、どこを見回しても、景気の良い話などありません。例外的にゾゾタウンの前澤社長が、750億円の費用を投じて剛力彩芽を連れて月旅行に行く、なんて話もありますが、これは極々一部の例外中の例外の話でしかありません。
 私の周囲を見回しても、景気の良さは全く感じられません。商店街のシャッター通りは相変わらずですし、個人商店の居酒屋もラーメン店も閑古鳥が鳴いています。大手スーパーの地元店が月に一度、5%値引きをします。当然、大勢の高齢者が集まります。もちろん、私もその一員です。
こういう光景ばかりしか見ていないのに、戦後最長の景気拡大なんて言われても、眉に唾を何度塗っても信じることができません。
 後期高齢者と言われる年齢まで生きてくると、あらゆる事象に疑いの目を向けるようになります。政府や新聞、テレビをはじめとするマスコミにはさんざん騙され、あるいは捏造ニュースや記事を読まされてきたからです。ですから、今回の戦後最長の景気拡大なんて言われても、「ほんとかいな」という目で見るようになるのです。特に、財務省の言うことは信用なりません。
 今回の戦後最長の景気拡大については、最初から胡散臭い臭いを感じました。そこで、私なりに、この問題について検証してみることにしました。

景気とは何か

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 景気拡大という場合の「景気」とは何か。そこから調べてみることにしました。広辞苑によれば、「様子。けはい。ありまさ。景況」とされています。また、デジタル大辞泉によれば、景気とは「 売買や取引などに現れる経済活動の状況。特に、経済活動が活気を帯びていること。好景気。」と定義されています。ウイキペディアでも、「景気とは、売買や取引などの経済活動全般の動向のこと。」というだけで、計数的な根拠は示されていません。要するに、経済学の定義では、景気というのは、具体的な指数に基づくものではない、ということなんですね。英語では、適切な訳語がないらしくBusiness、Boomという訳しか出てきません。
 ならば、政府は、何を根拠にして景気拡大と広言しているのか。きっと卸売り物価指数とか、もっともらしい根拠があるはずです。読売新聞の記事を調べてみると、次のような記事が見つかりました。
『政府としての景気拡大期間の正式な判断は、有識者でつくる「景気動向指数研究会」での議論を踏まえ、内閣府が決めている。』。
 なるほど、この景気動向指数研究会なるところが、景気がいいか悪いかを決めていたんですね。ということは、この研究会が、今は景気がいいと言えば景気がいいことになり、景気が悪いと言えば悪いことになる、ということです。
 ネットで調べてみると、この研究会は、次のようなメンバーで構成されていることが分かりました。

座長 吉川 洋 立正大学経済学部教授
  刈屋 武昭 城西国際大学特任教授
  小峰 隆夫 大正大学地域創生学部教授
  嶋中 雄二 三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券(株)参与景気循環研究所長
  櫨 浩一 株式会社ニッセイ基礎研究所専務理事
  福田 慎一 東京大学大学院経済学研究科教授
  美添 泰人 青山学院大学経営学部招聘教授

 吉川洋という座長の名前を見てピンと来る人は、かなり勘のいい方です。あちこちの政府御用達の審議会などの会長を務めている方で、いわば国や財務省の提灯持ち、典型的な御用学者です。
 まあ、今回はそういう予断・先入観は持たないで、冷静にこの研究会の報告書を見てみることにしましょう。

景気動向指数は9項目で判断

 この研究会の報告書が出ていました。「第18回景気動向指数研究会について(概要)」というもので、平成30年12月13日付けで出されていました。直接ご覧になりたい方は、

こちらからどうぞ→内閣府経済社会総合研究所報告書

この報告書の肝の部分を、次に示します。

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 この表から分かるように、景気動向を評価する項目は、次の9つであることが分かります。
①生産指数(鉱工業)
②鉱工業用生産財出荷指数
③耐久消費財出荷指数
④所定外労働時間指数(調査産業計)
⑤投資財出荷指数(除輸送機械)
⑥商業販売額(小売業)(前年同月比)
⑦商業販売額(卸売業)(前年同月比)
⑧営業利益(全産業)
⑨有効求人倍率(除学卒)
 これら各項目の評価指数のプラスが多ければ多いほど景気拡大、マイナスが多ければ多いほど景気悪化、ということになります。ですから、9項目のうち、半分以上、つまり5項目がプラスなら景気拡大、5項目がマイナスなら景気悪化、となるはずです。
 ところが、上の表をじっくり見てください。一番下欄の一致指数が50%以上なら景気拡大、というのは分かります。しかし、矢印で示した2014年4月時点で、5項目が突然マイナスに転じ、全体の9項目のうち、7つの指数がマイナスになったのです。当然、全体評価としての一致指数も22.2%という低い数値になりました。常識的には、この時点で景気後退に突入となるはずです。
 しかし、研究会の報告によれば、この2014年4月以降も景気拡大期が継続していたというのです。こんな常識に反することがありうるのでしょうか。私には、余りにも非常識と思われます。この委員会メンバー諸氏は、こんな結論を出していることが、恥ずかしくないのでしょうか。

消費増税でも景気拡大したと言いたかった

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 このようなインチキ結論を出したのはなぜか。それは消費増税によっても、景気は拡大し続けた、と言いたかったからです。消費増税によって、景気が落ち込んだというのでは、今予定されている消費増税をすることができない。財務省としては、何が何でも「消費増税後も景気拡大が続いていた」と言いたかったのでしょう。その財務省の意向に応じたのが吉川洋座長をはじめとする、御用学者たちです。文字通り学者の風上にも置けない「財務省の犬」とも言うべき存在です。財務省からすれば、「使いやすい学者」です。もっとも政府関係の審議会の座長など、依頼者の意向を汲んでくれる「使いやすい学者」を活用するのは常識なんですけどね。
 私は、表に示されたデータそのものは、ほぼ正しい数値であろうと思っています。問題は、このデータを見て、どう評価するかということです。吉川座長をはじめとする学者たちは、王様の裸を見て裸だ、と言わず、王様(財務省)の顔色を見て、王様は立派な服を着ていると言ったということです。
 こんな恣意的な判断をする研究会が、政府機関として機能している。これが現実というものです。

ジャーナリストは何を見ているのか

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 「いざなみ超えの景気拡大」は、多くのマスコミが報じたところであり、すでに周知されています。しかし、多くの国民は、密かに違和感を抱いています。当然です。消費増税によって、大きく景気が落ち込み、すでに20年以上にわたって、初任給すら増えないという異常状態、すなわちデフレが続いているのです。これが戦後最長の景気拡大だなんて、余りにもおかしいではありませんか。
 確かに学者や評論家の中には、このことをきちんと指摘している方もいます。その代表は、豊富な統計数値を駆使し、事実に基づいて評論をしている三橋貴明氏です。彼は、この事実をきちんと指摘し、批判しています。

▶▶▶三橋貴明氏の批判は→こちらから

 腹立たしいのは、新聞・テレビなどのマスコミ人の中に、「これはおかしい、これは本当か」と誰も指摘していないことです。私のような素人でさえ気づくことが、FACTに基づいて報道することを使命としている経済記者などが気付かないのでしょうか。気付いていながらそれを報じないとするなら、ジャーナリストの資格はありません。いますぐ職替えをすべきです。事実を報じる勇気を持たない人間が、報道に携わることは、本人にとっても私たち日本人にとっても極めて不幸なことです。いますぐに「財務省のポチ」を返上していただきたいと思います。(H31・2・8記)

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