時事寸評 書評コーナー

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米中貿易戦争は日本にとっての神風です

米中貿易戦争は日本にとっての神風です

中国の軍事費の急拡大

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 米中の貿易戦争がエスカレートしています。米国が、これまで制裁対象から外していた約3,000億ドル(約33兆円)分の輸入品に対して最大25%の関税を上乗せするというものです。
 米国が中国に対してこれほどまで強硬姿勢をとるのはなぜか。一言で言えば、「中国の覇権主義的な行為は許さない」という一点に尽きます。つまり、中国は、経済の発展を背景として、急速に軍事力を拡大してきました。毎年10%以上軍事費を増大させ、あっという間に日本を抜き去り、すでに日本の4倍以上の軍事費を有する軍事大国となったのです。そもそも近隣諸国に中国を侵略しようという国などあるでしょうか。ありません。侵略される可能性などないのに、一方的に軍事拡大を図る意図は何か。自ら周辺国を威圧し、隙あらば侵略しようという意図にほかなりません。
 2019年の国防予算においても、習近平国家主席(中央軍事委員会主席)は、全国人民代表大会(全人代)において、GDPの伸びを上回る前年比7.5%増の1兆1898億元(約19兆8500億円)を充てると明らかにしています。1988年以来、ほぼ毎年2桁の伸びを示し、2000年に約1210億元だった国防予算は、ほぼ10倍に急増したのです。

侵略を繰り返す中国という国家

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 そのように急速に軍事力を拡大した中国の究極の狙いはなにか。端的に言えば、世界の警察官として振る舞う米国を凌駕し、ゆくゆくは中国主導によって世界を支配しようということでしょう。そのためには、5G(第5世代移動通信)など通信インフラ技術の標準化を中国主導で行い、技術大国として、軍事面、経済面で世界に君臨することを目指しているのです。
 軍事的な行動はすでに始まっています。原子力空母を3隻体制にすべく、その建造を急いでいます。南シナ海においても、人工島の建設とその軍事拠点化をほぼ完成させたと言われています。国際法上、島とは認められない岩礁に取りつき、これを埋め立て軍事拠点化する。フィリンピンが申し立てた国際司法裁判所の判決を「紙屑だ」と破り捨て、周辺諸国を威圧する。
 日本の尖閣諸島についても、国連のアジア・東アジア経済委員会が黄海と日本~台湾にかけての大陸棚の海底下には石油・ガスが大量に埋蔵されていると公表した途端、「中国の領土だ」と言い募り、連日のように尖閣諸島に接近し、領海侵犯行為すらも繰り返しています。
 そのほか、スリランカのハンバントタ港に見られるように、返済不能を見越した融資により、港の自由使用を認めさせ、軍事基地化するなど、日本の重要な輸送ルートであるCレーンを脅かす存在となりつつあります。
 一帯一路構想やAIIB(アジアインフラ投資銀行)なども、すべて中国の覇権主義に基づく、海外進出の拠点づくりに寄与する覇権主義の発露と言っても過言ではありません。
 他方、侵略により奪い取ったチベットやウイグルに見られるように、自治区とは名ばかりに、これら地域を武力で鎮圧し、少数民族を弾圧しています。また、全国に監視カメラ網を配備し、国民の自由な行動を監視し、点数をつけ、「良質な」国民か否かを評価しています。現体制に都合の悪い言論を封じ込め、国民を弾圧しているのです。

中国の経済侵略

 経済の発展段階における中国に対して、世界はかなり寛容でした。発展途上国という位置づけで、日本など先進国はODAなどの経済支援を行ってきました。一党独裁体制の中国は、この寛容な世界に甘え、産業における知的所有権を侵害したほか、国内での企業の果実を本国に持ち帰らせないようにするため、資本移動の自由を制限してきました。中国国内で利益を得ても、それを持ち帰ることができなければ、再度、中国国内で投資する以外に方法がありません。中国の利益、すなわち中国の景気拡大と雇用の創出に寄与するだけで、投資国の利益にはならないのです。
 また、民間企業に対して、企業内に共産党の下部組織を作らせ、企業経営に関与できるようにするなど、およそ資本主義国では考えられない不穏当な政策を押し付けてきたのです。
 このように、一党独裁体制の下、自国企業に補助金をつけ、他国からは知財権を奪い、経済活動の自由をも奪い、更に、利益も持ち帰らせない、というのでは外国企業からすれば、中国進出のメリットは何もないと言うべきでしょう。

自由な資本主義国になるとの期待は破れた

 これまで、米国をはじめとする自由主義諸国は、中国が経済発展すれば、おのずと自由な資本主義と言論の自由がもたらされるであろうと期待しました。国民が豊かになれば、言論の自由など基本的人権の保護を求めるようになり、おのずと民主的国家に移行するであろうと期待したのです。
 ところが、この甘い期待は、完全に裏切られました。温和なウミガメが誕生すると思って大事に育ててみたら、人間を食い荒らす手に負えない巨竜が出てきてしまったのです。

トランプが振り下ろした大ナタ

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 中国の暴虐無人な振る舞いに対して、大ナタを振るったのがトランプ大統領です。彼は、中国のこれまでの振る舞いを見て、自由を尊重する資本主義国になる可能性はないと結論付け、中国を断固として封じ込めるべく戦略を大転換したのです。
 これまでは、このような暴虐な振る舞いをする国家に対しては、軍事力を行使するのが一般的でした。しかし、大量の核兵器を保有する国同士においては、正面からの軍事攻撃は危険が大きすぎます。このような危険を回避しつつ、覇権国家を壊滅ないし衰退させる方法。それは経済力を削ぐ以外にありません。軍事力増強の裏付けは経済力だからです。
 トランプ大統領の要求は、次の5つに集約されると考えてよいでしょう。

トランプが要求している項目

①知的財産権を侵害するな
 中国は、これまで中国への進出企業に対して、企業の保有する知的財産、すなわちコンピュータプログラムのソースコードの開示を求め、これに従わなければ、国内で営業させないと脅してきたのです。
②為替を自由化し変動相場制にせよ
 中国は、これまで為替を自国に都合のいいように操作してきました。為替を切り下げれば、輸出がしやすくなるなど、為替の利点を活用してきたのです。
③資本の移動を自由にせよ
 中国は、これまで進出企業に対して、中国国内で得た収益を自国に持ち帰ることを禁じてきました。これでは再度、中国国内で再投資するしか方法がありません。
④国有企業への補助金をやめよ
 中国の企業は、名目は民間企業と言っても実質国有企業です。これら名目上の民間企業に対し補助金を与え、輸出することは公正な貿易とは言えない、というわけです。
⑤進出企業内に共産党の細胞をつくらせるな
 中国は、進出企業のなかに、共産党の細胞(監視組織)を作ることを強要してきました。これでは、民間企業として自由な企業運営はできないのは明らかです。

 このように、自由主義社会から見れば、余りにも当たり前のことをトランプ大統領は要求しているにすぎないのです。中国の強みは、このような不当な侵害、関与をすることによって、国力を増大させてきたのです。
 経済力を削いでしまえば、軍事費を増大させることは困難になります。2018年7月から始まった米国による25%の追加関税攻勢はまさにそのための手段にすぎなかったのです。

本気でファーウエイ潰しを

 これに加え、米国は、通信機器メーカーファーウエイを潰しにかかっているようです。現状を放置しておくと、世界の通信機器の供給元がファーウェイ1社になってしまい、その傘下に世界中の部品メーカーが組み込まれてしまうという未来図が見えてきたからです。
 チベットやウイグルを侵略し、そのうえ民族浄化政策をとり、言論統制と監視カメラ網を敷き、国民を監視する国家が、世界の通信網の要を抑えてしまう。想像しただけでも恐ろしい話です。
 しかも、中国は、「国家情報法」という法律を作り、国が求めた場合は、国民や企業が入手した情報をすべて提供することが義務付けられました。こんな制約の下で、重要な情報がすべて独裁政権に提供されたのではたまったものではありません。
 米国が本気でファーウエイを潰しに来たのは当然と言ってよいでしょう。むしろ遅すぎたと言ってもよいくらいなのです。

経済団体の不可思議な行動

 トランプ大統領のこのような攻勢に対して、日本政府が全面的に支持すべきは当然です。なぜなら、日本も、中国の軍事大国化の犠牲になりつつあるからです。日中中間線におけるガス田を共同で開発するとの約束は完全に反故にされました。小笠原諸島周辺海域における赤珊瑚は、雲霞の如く押し寄せた中国漁船により無残にも蹂躙し尽くされました。反日活動により、中国の日本大使館に押し掛けた群衆により損傷されるという事件もありました。日本企業の多くも甚大な物的損害を被りました。その補償は一切ありません。尖閣周辺における中国海警の領海侵犯行為も、日常茶飯事の如くなりつつあります。接続水域における中国船の侵入は、令和元年5月15日現在、連続33日(5月29日現在、連続48日)にも及んでいるのです。
 つまり、中国という国は、常に弱小と見られる周辺国に対して、侵略ないしそれに近い不当な膨張主義行為を繰り返しているのです。もちろん、米国のような大国に対しては、決してあからさまな侵害行為はとりません。技術盗用と約束の反故、弱い者いじめが中国という国の特徴、国柄なのです。

日本へのすり寄りに寛容すぎる

 中国が急速に日本に擦り寄ってきたのは、米国の圧力に抗しかね、一時的に避難するためです。米国から技術を盗むことができないとなれば、日本やドイツに頼るしかありません。近い将来、米国が方針変更し、中国との和解が進めば、再び、日本に対して牙をむくのは容易に想像できます。
 こんなことは中学生レベルでも理解できることなのに、日本の政治家、マスコミは、「日中融和」「日中関係は正常な関係に戻った」などと諸手をあげて賛意を表しているように見えます。私に言わせれば、バカもいい加減にしろ、と言いたい。トランプによって経済的に弱体化しつつある中国に救いの手を差し伸べるなど、もってのほかです。今は、米国と歩調を合わせて、中国経済を崩壊させ、自由な言論空間が保障された資本主義国家に変貌するまで追い込むことこそが、日本の国益に叶うのです。なぜなら、経済力の強い中国は、決して覇権主義・膨張主義の旗を降ろすことはないからです。経済力を背景に、より一層軍事力を増強するのです。日本政府やマスコミが唯々諾々と中国のすり寄りを、歓迎しているのは本当に残念でなりません。
 習近平を国賓として迎えるべく、日本政府が動いています。我が国の領土への侵犯行為を繰り返し、日本の民間人を8人もスパイ容疑で拘束(一人は15年、もう一人は8年の懲役刑)している国の元首を、国賓として迎える。何という愚かな行為でしょうか。窮地に陥っているのは中国です。すり寄ってくるならば、先ず、①尖閣諸島への不当な侵略行為を止めます、②日中中間線におけるガス田の共同開発を実行します、③スパイ容疑で逮捕した民間人を即時釈放します、④南京大虐殺など、ありもしない虚説を申し立てることをやめます、くらいのことは確約させ、実行を確認してから幾分中国側の言い分を聞くくらいでよいはずです。日本側からは、このほか、南シナ海における不当な軍事施設の撤去やチベット、モンゴルにおける人権弾圧も即時停止することを要求すべきです。

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 中でも、腹立たしいのは、経団連などの経済界が中国のすり寄りに、歓迎のごとき態度を示していることです。日本貿易会の中村邦晴会長(住友商事会長)も、「商社が投資した企業が関税引き上げの影響を受ければ、商社の業績に跳ね返ってくる。今年一番の問題だ。」(令和元年5月16日・読売新聞)と述べるなど、米中貿易戦争の早期終息を願う思いが伝わってきます。
 私に言わせれば、一党独裁の共産主義国家に敢えて進出し、不当な技術移転の強要を唯々諾々と受入れ、共産党細胞を自社企業内に設置させられ、収益を日本に持ち帰ることもできない。しかもその国に、日常的に尖閣列島を脅かされつつある。そういう理不尽かつ敵対的国家に、積極的に投資をする企業こそ、脳細胞が壊れているとしか思えないのです。もちろん、中国にひれ伏す一方、日本政府にばかり噛みつく玉城デニー沖縄県知事の反日行為など、論外です。

中国は窮状をどう打開するか

 トランプ政権は、中国が覇権主義を諦め、真の意味での自由で開かれた民主主義国家になるまで、攻撃の手を緩めることはないでしょう。一方、中国も、共産主義を放棄して生きて行く、との決断はできないでしょう。それは現在の習近平体制はもちろんのこと、共産主義体制そのものの否定になるからです。そこまでの大転換はできるはずはありません。
 ということは、米中の経済戦争は、いずれかが倒れるまで長期に亘って続いていく、ということを意味します。中国は、米国から突き放され、経済的に追い込まれますから、別の手段を考えるはずです。その方法は、次のようなものでしょう。

中国のとりうる対策

①米国へ輸出できなくなった商品を捌くため、他の国への輸出に切り替える
②国内消費を刺激し、需要を喚起する。
③ドル支配体制から脱却するため、ブロックチェーンなどを活用した、新たな貿易体制づくりを行う。

 ①の他国への転換は長期的には可能ですが、短期的には難しいでしょう。流通経路の建て直しが必要になりますし、各国のニーズに応じた商品、すなわち多品種少量の商品を提供する必要があるからです。中国の強みは、安い労働力をテコに、安価な商品を大量生産することです。しかし、生活水準の向上に伴い、生産における比較優位の地位も失われました。新興国のジレンマというやつです。中国の最も欲しいのは、米国に対抗するためのドルです。しかし、各国は、フィリッピンならペソ、インドネシアならルピア、タイならバーツという具合に、通貨はそれぞれ異なります。ドルを貯め込んで米国に対抗することもできません。
 ②については、すでに対策を講じています。消費を刺激すべく、消費税を大幅に減税したのです。即時に実行できる独裁国家の強みです。しかし、これとて即効性は薄いと思われます。消費税が安くなったからといって、どんどん消費を増やせるほど、一般庶民の収入は豊かではありません。中国の経済成長で、異常なほどに高騰した不動産価格。不動産の値上がりを見越して多額のローンを借りた庶民が無数に存在するのです。
 若いカップルの多くも、教育費や住居費の高騰により、子どもを持つのが2人はおろか1人でさえ難しくなっています。長く続けてきた一人っ子政策により、人口減少と高齢化が世界最速で進むと推定されているのです。
 他方、2億8千万人ほどに膨張した農民工と言われる労働者には、満足な職もなく、よって購買力もありません。総体的に見て、少しくらい消費税を引き下げたくらいで、すぐに内需が拡大するという環境にないのです。

ドル支配体制からの脱却

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 習政権が真剣に考えているのは、③のドル支配体制からの脱却ではないでしょうか。米中貿易戦争により、米国からギリギリ攻め立てられているのは、強いドル基軸体制が存在するからです。世界貿易の43.8%を占めるドル決済の比率を、自国通貨である人民元で決済できるようになれば、米国にひれ伏す必要はなくなります。
  2015年、中国の通貨である人民元は国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)の構成通貨に採用されました。国際通貨(ハードカレンシー)になったというわけですが、その後の利用率は向上せず、決裁比率は1%台を低迷しています。独裁国家で為替操作国の通貨を持ちたいという人はいないのです。現在の政治体制が続く限り、人民元が世界を支配する構図は浮かんできません。
 そこで中国が考えているのは、ブロックチェーンを活用した新たな決済手段と思われます。新たな貿易取引システムを構築することにより、ドル支配体制からの脱却を模索しているのです。具体的には、ドルに代わる通貨=仮想通貨の模索です。
 仮想通貨は、ブロックチェーンの技術を基幹技術としているとされています。「分散型台帳」と訳されるブロックチェーンで世界中のコンピューターをつないでいく、というイメージでしょうか。私は、仮想通貨を使ったことがありませんが、この技術は、貿易金融に活用でき、そのメリットは極めて大きいとされています。トレーサビリティー(履歴の追跡)や透明性が高まり、業務も効率化できるからです。安全性が高く、信頼できる関係者だけが参加するグループにアクセスできるため、銀行などはこの技術を大いに評価しているとされています。さらに、インボイス(送り状)の追跡から書類の電子化に至るまで、あらゆる貿易取引や業務の透明性を高められるというわけです。
 習政権は、米国のドル支配体制から脱却するため、自国の息のかかった東南アジアや中東、アフリカ、中南米を巻き込み、独自の支配体制を構築すべく模索するでしょう。現在は、まだ黎明期にあるため、あまり普及していませんが、幼児期からコンピュータに慣れ親しみ、その利便性を理解する国民が多くなれば、一気に普及する可能性があります。当然、銀行などの支店は、壊滅状態になるでしょう。
 もっとも、透明性の高い新技術の採用は、独裁国家にとってもろ刃の剣にもなります。これまでのように、自国に都合の良いデータを捏造することなどできなくなるからです。GDP成長率7%は、実はマイナス成長だった、などということもすぐにばれてしまうでしょう。いずれにしろ、ブロックチェーン革命は、好むと好まざるとにかかわらず、多くの産業に浸透し、革命的な変革をもたらすことだけは間違いないと思います。

結 論

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 結論として、今、日本がやるべきことは、トランプ大統領と足並みをそろえ、中国の経済力を徹底的に削ぐことに全力を注ぐことです。
 中国は、海軍創設70周年を迎えた今年(令和元年)4月23日、山東省青島市沖で国際観艦式を行い、中国初の空母「遼寧」に加え、空母打撃軍を形成する最新鋭の大型駆逐艦や攻撃型原潜を公開しました。更に、中国は、国産2隻目となる国産空母を建造中で、最新鋭の電磁式カタパルト(射出機)を備えていると見られています。
 3隻体制となった空母打撃軍が、南シナ海、東シナ海を遊弋する姿は、日本にとっての悪夢です。そのような状態になった時、日本は本当に自国防衛ができるのでしょうか。
 そうさせないためにも、何としても、今のうちに中国の経済力を削ぐ(=軍事力を削ぐ)ことに全力を注ぐことが、日本の最重要課題であるのは当然です。日本企業は、一刻も早く中国から撤退し、中国の経済減速に力を尽くすべきです。トランプ大統領の仕掛けた米中貿易戦争は、正しく日本にとっての神風なのです。(令和元年5月19日記)

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