時事寸評 書評コーナー

welcome to shimada's homepage

パックンの「日本はホロコーストと同等」発言は本当か?

パックンの「日本はホロコーストと同等」発言は本当か?

文化人チャンネルでパックンを批判

画像の説明

 私は、時々「文化人チャンネル」を視聴しています。築地まぐろ仲卸三代目を自称する生田よしかつ氏の本音トークが面白く、時事ネタにも鋭く切り込む気風(きっぷ)の良さが魅力だからです。今回のゲスト(?)は、山口敬之氏と西村幸祐氏でした。この2人のゲストも本音ベースで時事ネタを語ってくれるので、時々聴かせてもらっています。
 10月7日に放送されたこの文化人チャンネルの主要な話題は、オリンピック会場に旭日旗を持ち込むことに関するものでした。例によって韓国が、国際オリンピック委員会(IOC)に対して「旭日旗は日本の侵略の象徴であるので、会場への持ち込みを禁止してほしい」と要請した、という埒もない言いがかりによるものです。韓国側の主張は、「旭日旗は歴史的な傷と苦痛を想起させる明白な政治的象徴」だというわけです。これに対して日本側の主張は「旭日旗のデザインは、大漁旗や出産、節句の祝いなど日常生活の様々な場面で使われ、政治的主張や軍国主義の象徴という指摘は全く当たらない」と主張しています。
 このことに関し、9月20日に放送されたBS-TBSの番組「報道1930」で、コメディアンであるパックン(正式には「パトリック・ハーラン」という名前のようです)が、次のような発言をしたというのです。

パックンの発言とされるもの

 日本はホロコーストをやったドイツと同等。したがって相手が嫌がっている旭日旗の持ち込みを禁止すべきだ。その我慢するのが日本人のおもてなしの心でしょう。

 この発言を聴いたら、ほとんどの日本人は激怒するはずです。ネット上でも、この問題が取り上げられ、かなり炎上していたのです。
 この発言が本当だとしたら、私も日本人のひとりとして、断固抗議をしなければなりません。なぜならば、日本をホロコーストというならば、アメリカの方こそ、太平洋戦争時において、ホロコーストと並び称されるくらい、民間人の大虐殺をしたからです。その第一は、広島・長崎における原爆投下です。非戦闘員たる無辜の住民20万人以上を皆殺しにしたのです。また、日本の各都市において、無差別に爆弾を投下し非戦闘員を大量に虐殺しました。特に、東京大空襲においては、最初に退路を塞ぐため、四角に焼夷弾を落とし、その後にその内側に焼夷弾を雨あられと投下しました。それによって、退路を塞がれた10万人以上の一般住民が焼き殺されたのです。逆に、日本はそのように一般の非戦闘員を対象にして虐殺した事例はあるでしょうか。ありません。アメリカが非難する真珠湾攻撃ですら、一般人が巻き込まれたということはありますが、直接、非戦闘員に対する攻撃は一切していません。

画像の説明

 ですから、アメリカ人であるパックンが日本に対してホロコーストという非難をするなら、断固反撃をしなければなりません。
 しかし、本人の発言を直接確認しなければ、直ちに怒りをぶつけるのは適切ではありません。最近は、大手新聞を含め、右も左も、巷にはフェイクニュースが溢れているからです。
 最近でもLGBTをめぐる問題で、杉田水脈参議院議員が月刊誌「新潮45」の中で、「生産性がない」という言葉を使ったというので、ひどいバッシングを受け、最終的に、「新潮45」が廃刊にまで追い込まれた、なんてこともありました。その時私は、事実関係を確認するため、改めて杉田論文を全部読んでみました。同論文では、彼女は、朝日新聞などがLGBT問題を過度に扱い、そのうえで彼らの保護を求めているが、税金は無尽蔵ではない以上、優先順位の高いものから使われるべきだとの主張であり、そのこと自体極めて真っ当な意見でした。それにも関わらず、バッシングを受け、同誌は廃刊にまで追い込まれたのです。このように、今の言論空間は、朝日や毎日、東京など左翼系新聞だけでなく、ネット上でもフェイクニュースは溢れています。今回のこのパックン発言も、本当に彼が上記のような発言をしたのか。先ず、事実をきちんと確認することが重要です。

BS-TBSの番組を検証

画像の説明

 そこで、先ずは、実際の映像を探すことにしました。真実は、実物以外にはないからです。かなり時間をかけて探しましたが、なかなか見当たりませんでした。そして、やっとのことほぼ全部と思われる映像を見つけることができました。それが、この映像です。

▶▶▶BS-TBSの番組「BS報道1930」こちら

 この映像は、コマーシャル部分をカットしているので、100%現物と断定することはできません。しかし、ほぼ全部を残したとみられるこの映像を見る限り、パックンの口から「ホロコースト」云々の発言はなされていません。
 発言したのは、万字マーク「卍」についてです。「日本は昔からお寺のマークに卍を使用してきたが、このマークは、外国人から見るとナチスを連想させるだろうということから、日本はおもてなしの気持ちから、自主的にこのマークを使用することをやめた。今回の旭日旗も韓国から言われたから、安倍さんも意地になって使用をやめたくないのだろう」といった発言がありました。
 番組中でも述べられていますが、この旭日旗が問題にされるようになったきっかけは、8年前の2011年、カタールで行われたアジアサッカー杯での出来事です。先制ゴールをきめたキ・ソンヨン選手が日本を侮辱する猿の真似をしたことの言い訳として、「観客席に旭日旗を見たためだった」とツイッターに書き込んだのです。その後、映像を解析した結果、旭日旗は一切見当たらず、ソンヨン選手のツイッターは、単なる言い訳だったということが判明したのですが、韓国国内では、それ以来、旭日旗に対してしつこく取り扱うようになっていったのです。
 ハーゲンクロイツに言及したのは、黒田氏の1回だけのようです。黒田氏は、次のように述べたのです。

産経新聞黒田勝弘氏の発言

画像の説明

 カタールの事件の翌年、女子サッカージュニアの大会開催時に、日韓戦の時にひと騒ぎがあった。日本側のスタンドに旭日旗が出ていたと言って、韓国のメディアが大々的に報じた。東亜日報などは一面トップの扱いだった。朝鮮日報はその時、一面全部を使って、旭日旗とドイツのナチスのハーゲンクロイツのマークを並列で並べ、旭日旗は軍国主義の象徴だ、とすごい日本バッシングをした。これで韓国では旭日旗が軍国主義の象徴、戦犯旗だということが定着したものと思う。

 このように、パックンの発言の中には、ナチスのハーゲンクロイツと同等、と言った表現はどこにも見られません。彼が言ったことで問題があるとすれば、「スポーツの祭典で旭日旗を使うのは、相手に対する挑発的、攻撃的な印として使われていると思う」と述べた部分でしょうか。
 いずれにしろ、番組を総括すると、このハーゲンクロイツ云々は、パックンの発言ではなく、産経新聞の黒田勝弘氏の発言の中に出てきた表現とするのが正しいと思います。但し、黒田氏は、韓国の朝鮮日報の記事を紹介するくだりで述べたものであり、決して彼自身が旭日旗をハーゲンクロイツを連想させるものだ、と述べたわけではありません。

屋山太郎氏の記述が火元か

 本件発言の出所を調べているうちに、評論家の屋山太郎氏の文章を見つけました。同氏は、令和元年9月25日付け静岡新聞「論壇」で次のように述べていたのです。以下、そのまま転載します。

画像の説明

屋山太郎氏の主張(静岡新聞「論壇」より一部転載)

(前略)旭日旗は自衛隊が出発してからのマークで韓国でも過去に問題にされたことはない。
「戦犯旗」だという言葉が登場し始めたのは2010年代になってから。
その後エスカレートする一方になった。
 日本の自衛隊にとって旭日旗は自衛艦旗であり、所属国を示す標識であり、国の主権の象徴だから、海自が参加するとなれば徽章なしで参加するわけにはいかない。現役の海自隊員も何千何万という卒業生もこの徽章を誇ってきたに違いない。「その徽章が戦犯旗を想起させるから、参加しなくていい」というのは、国際的にも受け入れられまい。
​ こう思っている最中、たまたま9月20日のBS-TBSで「旭日旗の持ち込み問題・東京五輪でどうなるか」の番組が放映された。
この中のパトリック・ハーラン(パックン)発言は許せない。
ハーバード大学卒のお笑い芸人として売り出しているから、
パックンの思想や考え方には注意を払わなかったが、日本のことを全く理解していないことに驚いた。​
 パックンの認識は
「日本はホロコーストをやったドイツと同等。
したがって相手が嫌がっている旭日旗の持ち込みを禁止すべきだ」
​「そう我慢するのが日本人のおもてなしの心でしょう」​
​​
 日本とナチスを比べるのは米国人の通弊だが、日本兵は相手が民間人と分かってわざと殺すことはしない。真珠湾攻撃がうまくいったという「戦勝記事」を覚えているがそのトップ記事の下に「民間人68人が巻き添えになった」という記事が添えられていた。これが武士道の精神というものだ。(後略)

 この記事が掲載されたのは9月25日です。対して、文化人チャンネルが放送されたのは、10月7日です。この時間差の間に、ネット上で炎上してしまったとみるのが正解のようです。

▶▶▶屋山太郎氏の発言をすべて読みたい方は、→こちらからどうぞ

結論

画像の説明

 このように、パックン発言として、ネット上では炎上していますが、決して彼はそのような発言はしていないと思います。もちろん、私の見た映像が、単にコマーシャル部分だけをカットしたものでなく、肝心のパックン発言を意図的に削除した可能性もゼロとは言い切れません。どなたか、その部分の動画があるなら是非紹介していただきたいと思います。
 以上、事実関係についてのみ述べさせていただきました。
 番組を観た感想ですが、キャスターの松原耕二氏が、旭日旗の使用は韓国を刺激するので、止めるべきだとの意見を持っていることが言葉の端々から窺えました。キャスターも人間ですから、さまざまな意見を持つのは当然です。しかし、視聴者からも「あ、誘導しているな」と思われるような舞台回しは、遠慮していただきたいと思います。
 最後に、私見ですが、韓国国民(韓国マスコミ?)の過剰反応は、かなり慣れっこになっていますが、それにしても執念深いですね。「病的」という表現がぴったり当てはまるかもしれません。次から次へと、よくもまあ、これほど難癖をつけられるものと呆れます。扇子をイメージしたメダルの模様にさえ、旭日旗を連想させるなどのクレームはその典型です。今回の旭日旗問題も、日本は譲歩してはいけないと思います。なぜなら、かの国は、一歩譲れば二歩、三歩、と踏み込んでくる国民です。ここで譲歩すると、今度は、日の丸、日本国旗こそ軍国主義の象徴だ、使うなと言ってくることは間違いありません。
 これまで日本政府は、「今度だけ譲歩してくれれば、今後、二度と同じ問題を持ち出さない」という言葉を信じ、譲歩し、反故にされるという過ちを繰り返してきました。もう、この国とは、「敬して遠ざける」、いや「一切かかわらない」の精神が一番賢い選択だと思います。(R1・10・19記)

a:79 t:1 y:2

powered by Quick Homepage Maker 5.1
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional