時事寸評 書評コーナー

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正規雇用の確立で多くの社会問題が解決されます

正規雇用の確立で多くの社会問題が解決されます

問題解決の共通項は正規雇用の確立

 今の日本、多くの問題が噴出しています。外交・防衛、経済・財政、少子高齢化等々、数え上げればキリがありません。外交・防衛のような対外的な問題は、一応、横に置くとして、国内問題に焦点を当てて考えてみることにします。
 国内問題は、災害対策、地方活性化、人手不足、テロ対策、年金・医療、エネルギー、インフラ整備など、大項目から、引きこもり、生活保護、女性活躍、保育園不足、自動運転など小項目に至るまで、項目列挙すれば、無尽蔵と言ってよいほどに解決すべき問題が山積しています。
 これらの問題は、それぞれに大事な問題ですが、これら多くの問題を解決するための共通項、すなわち、解決の「横ぐし」となるのは、職場における「正規雇用を促進」することである、と考えます。なぜ、正規雇用を促進すれば、多くの問題が解決されるのか、その方法は、意外に簡単です。それは、嘗ての日本にあった古き良き「サザエさんの時代」、「三丁目の夕日の時代」に戻ればよいのです。

サザエさんの時代とは

 サザエさんの時代とはどういう時代だったのでしょうか。その時代とは、私のような後期高齢者が現役で生きていた頃の時代のことです。

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 サザエさんの一家は、右図でご覧いただけるように、大家族です。サザエさんの父、浪平はすでに退職の身。年金暮らしと思われます。サザエさんの夫、マスオさんは、お婿さんです。当時は、兄弟姉妹の多い時代でした。私も5人兄弟でした。どこの家も5人、6人は当たり前、小学校は1クラス50人を超えていました。
 長男が家を継ぐとすれば、次男以下は独立して外に出るしかありません。マスオさんは、磯野家の婿としてサザエさんと結婚したんですね。婿になるのが嫌な人は、結婚し、二人だけの新所帯、すなわち核家族になるしかありません。核家族化は、一時のブームでした。今はごく普通になりました。
 私は、サザエさんの家族に興味があるわけではありません。注目すべきは、サザエさん一家の生活ぶりです。どう見ても働き手はマスオさんだけです。ここでいう働き手とは、現金収入を得る働き手のことです。サザエさんの漫画を見ていて思うのは、父母を含め7人の生活がマスオさん一人の収入だけで、十分に支えられていたということです。
 なぜなら、サザエさん一家が生活に困窮しているという状況は、描かれていなかったからです。贅沢はできないが、慎ましい生活だったということです。サザエさんが、魚を盗んだどら猫を追いかけたり、要領のいいカツオ君がおやつをくすねたり、といったほほえましい風景がたくさん描かれていました。
 つまり、サザエさんの時代は、婿のマスオさんの収入だけで、お爺さん、お婆さんから孫に至るまで、安定的に暮らしていくことができたということです。それはマスオさんが「正規雇用社員」であったからです。当時は、正規雇用社員は当たり前だったのです。非正規雇用などという雇用形態は、なかったのです。いや、社会のどこかに多少はあったかもしれませんが、少なくとも一般的ではありませんでした。
 もちろん、アルバイトはありました。私も高校生の時、年末年始に郵便配達をしたり、学生時代は牛乳配達などのアルバイトをしました。しかし、一般の会社の社員は、基本的に正社員として安定的に雇用されていたのです。

女性にとっても厳しい時代になった

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 このように、社会全体が、正規雇用当たり前、年功序列当たり前、終身雇用当たり前という時代だったのです。それが崩れ出したのは、昭和40年代の高度成長期以降ではないでしょうか。いわゆるグローバル時代の波に乗り、終身雇用なんて古い、正規雇用なんて時代遅れ、年功序列も古い、女も男も平等だ。女も社会に出て働くのは当然、という時代になっていったのです。
 そして今では、女性活動家たちは、女性活躍と称して、国会議員も地方議会の議員も男女同数にせよ、と大きな声で叫んでいます。これに反する発言をしようものなら、「女性差別だ」などと猛烈にバッシングされてしまいます。
 こうして女性が大量に社会に進出してくるようになりました。当然、職場における女性の役割も重く大きくなりました。女性の社会進出に伴い、託児所や保育所などが不足し、「保育所落ちた、日本死ね~!」なんて言葉も聞かれるようになりました。
 このように、女性が大量に社会に進出することにより、家庭環境も大きく変わりました。サザエさんのように、家で魚をくわえたどら猫を追いかけている暇などなくなってしまったのです。男が職場に出て行けば、「7人の敵」がいると言います。しかし、女性にとっても、全く同じはずです。職場に女性の少ない時代ならチヤホヤしてくれますが、女性が大量進出するようになれば、チヤホヤなんてしている余裕などありません。女性にとっても厳しい職場環境にあることは、私のように既に職場を離れた人間にも容易に想像がつきます。女性の管理職も増え、女性上司によるパワハラで悩んでいる女性も少なくない筈です。「女の敵は女」という言葉があるように、時代を問わず、これは普遍的な真理だからです。

物質的豊かさと引き換えに心の豊かさを失った

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 では、今の時代、「三丁目の夕日」の時代に比べ、本当に豊かになったのでしょうか。確かに物質的豊かさが得られたことは間違いありません。三種の神器と言われる白黒テレビ、冷蔵庫、洗濯機が普及し、その後は新三種の神器と言われるカラーテレビ、車、クーラーが普及し、いわゆる文化的生活が可能になりました。電気、ガス、水道なども普及しました。外に出れば、砂利道はなくなり、全て舗装道路になりました。新幹線や高速道路も普及しました。海外旅行も、もはや高嶺の花ではなくなりました。
 このように、物質的にみれば、私たちの生活が格段に向上したことは間違いないのです。
 その一方で、私たちは、何かを失ってしまったように思われます。そのことを一言で言えば、「心の豊かさ」を失ってしまったということではないでしょうか。真の意味での豊かな生活を失ってしまったのです。
 本当に豊かになったといえるなら、サザエさんの時代の生活が維持できている筈です。大家族で暮らし、サザエさんは家で専業主婦としてお魚くわえたどら猫を追いかけていたはずです。しかし、今はそんなのんびりした生活はほとんど見ることができません。そんなのんびりした生活をしていたら、生活が成り立たないからです。
 なぜなら「豊かな生活」は、収入の安定が大前提となります。収入の安定は、非正規社員には望むべくもありません。非正規社員は、仕事のある時は一応大事にされますが、仕事がなくなれば、いつ首を切られるか分かりません。非正規ですから、将来、着実に収入が増える保証もありません。その結果、どうなるか。若者の結婚はかなり難しくなりました。収入が少なく、身分が安定しないんですから、結婚に踏み切る自信もなくなります。女性側から見ても、そのような相手では、二の足を踏むでしょう。未婚の若者が増えるのは当然です。未婚ならば、子供も生まれません。これが少子化です。
 少子化担当大臣なんてポストがありますが、笑うしかありません。少子化問題は、大臣を作れば解決する問題ではなく、社会の根本問題、構造問題なのです。
 夫は非正規で必死に働き、妻も、子供を保育所に預けて、必死で働く。夕刻には子供を迎えに行かなければいけませんから、残業はお断りです。よって、社内での昇進は犠牲となります。共働きで働いても、必ずしも生活は安定しません。2人で働くなら収入が2倍になる、というのは幻想です。正規雇用、年功序列、終身雇用の時代の収入にさえ追いつかない、ぎりぎりの生活、というのが多くの家庭の生活実感のはずです。
 つまり、三丁目の夕日の時代の方が、生活が安定し、のんびり平穏に生活ができていた、と言ってもよいのです。私たちの社会は、気づかないうちに、変な方向に舵を切ってしまったのです。グローバル化という誤った方向にです。

ならばどうするか

 ならば、どうすればいいのか、ということになります。私は、グローバル化という世界の潮流から逃れ、再び、日本型の生活スタイルに戻すべきだと思います。具体的に言うなら、三丁目の夕日の時代、すなわち正規雇用、終身雇用の時代に戻すべきです。年功序列については、異見もあるでしょう。人事の停滞を避けるため、もう少し、実力主義を取り入れることは必要でしょう。しかし、正規雇用と終身雇用の2大テーマは断固守る必要がある、と思います。
 正規雇用と終身雇用は、家庭の安定をもたらすだけではなく、企業の安定、社会全体の安定、さらには日本の誇る品質、クオリティの確保をもたらすからです。

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 なぜそう思うのか。考えるまでもないでしょう。亭主の給料だけで安心して生活できるなら、女性は専業主婦として、家事に専念することができます。託児所も保育所もそれほどいらなくなります。魚をくわえたどら猫を追い回す余裕もできます。
 企業にもメリットが生じます。正規雇用、終身雇用の社員なら、会社への忠誠心、ロイヤリティが復活します。非正規職員にとって、会社への忠誠心など生まれません。使い捨てにされているという意識が抜けないからです。最近、多くの名だたる大企業で、製品に対する不正問題が頻発しました。日立化成、日産自動車、神戸製鋼、東レ、三菱自動車、旭化成、三菱マテリアル、東洋ゴム工業など、製造業における事例は枚挙にいとまがありません。
 私は、これらの不正問題の根底に横たわっているのは、使い捨てにされている非正規職員による反乱と睨んでいます。愛社精神と自社製品に対する「誇り」が失われているのです。
 東洋経済誌が「正社員数の多い」トップ企業500社というのを発表しています(詳細は→こちらから
)。上位50社を見ると、東芝を除き、製品不正問題が生じた企業は一社も入っていません。東芝も、製品の不正問題が発覚したのではなく、あくまでも企業トップによる経理不正の問題でした。
 人間というのは正直なものです。非正規ならテキトーにやろうという気持ちになりますが、正規職員として退職に至るまでお世話になる職場だと思えば、会社に対する愛着、忠誠心が湧いてきます。品質の悪い商品を世に出すことは自分のプライドが許さない、という気持ちにもなります。要するに、やる気が満ちてくるのです。こうした社員で固められた組織の業績が下り坂になる、ということはあり得ません。

実現可能なのか

 では、実際にそんな時代に逆行するようなことが実現可能なのでしょうか。世界全体がグローバル化に踏み込んでしまっている以上、時代の流れを逆回転させることなどできない、と考える人も多い筈です。
 しかし、このことに気づき始めた企業もあります。例えば、トヨタです。トヨタ自動車は、事務作業を担当する正社員を新たに400人採用することを決めました。現在、社内で働いている派遣社員から優先的に募集するというのです。実質的には、派遣社員の正社員化と言ってよいでしょう。
 この正社員化を単なる人手不足対策というのは、短慮にすぎるでしょう。物作りには、会社を愛する正社員によるモノづくりこそ大切と信じる、企業としての意思、トヨタイズムがその背景にあると思います。つまり、正社員化が実現可能かどうかは、個々の企業が自ら決めることができるのです。法制度の問題ではありません。
 もちろん、国として正社員化を促進することは可能です。非正規職員を正規職員化した場合には、何らかの税制上の恩典を与えるとか、正規社員数の割合が90%を超える企業には、税制上の優遇措置を与えるなどです。少子化担当大臣など設けるより、遥かに有効ではないでしょうか。

男女平等に反するのではない

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 私が、社員の正社員化を進めるべきだと主張するのは、決して男女平等に反するものだとは思いません。女性が企業内でバリバリ働きたいと思うなら、どんどんやればいいのです。それを邪魔するつもりはありません。男女の役割を逆転し、意欲と能力のある女性が企業戦士となり、夫が専業主夫として家事全般を担当してもよいのです。その場合には、妻の給料に扶養手当をつけて頂きましょう。
 私が言いたいのは、今の社会を冷静に見ていると、男性にとって、非正規として身分が安定せず、そのうえ給料も低い。このため、なかなか結婚に踏み切れない。一方、女性も、結婚したはいいけれど、ダンナの給料だけではやっていけない。パートや非正規で働かなければならない。朝早くから子供や亭主の弁当を作り、子供を保育園などに送り届け、その足で会社に出勤。帰りは残業を断り、子供を保育園から引き取り、帰ったら夕食を作る。これでは、男も女も疲弊してしまいます。特に、圧倒的に負担が女性にかかり過ぎています。働く女性たちは、ブラック企業、いやそれ以上の労働を担っている状態なのです。こんな状態では、高齢になった時、女性たちの体はボロボロになってしまいます。
 奥田祥子という人の書いた「女性活躍に翻弄される人びと」(光文社新書)にも、そのあたりの実情が詳しく述べられています。今の状態では、企業内でステップアップを図りたいとして総合職で入社した女性でさえ、挫折せざるを得ないということを知るべきです。
 そう考えた時、有効な解決策は、サザエさん時代に戻るべきではないかと考えたのです。決して、女性を家庭に縛り付けようとする意図ではないことを理解していただきたいのです。なぜなら、私は、生まれながらのフェミニストだからです。
 最後に付け加えますが、自らがひとりで家計を担っているいわゆるシングルマザーに対しては、国としても積極的に支援する必要があります。子育てしながら非正規というのでは、とても体が持ちません。子供の数に応じて、毎月無条件で10万から20万円程度の資金援助をしてもよいと思います。次代を担う子供は国の宝です。その宝を養育している努力に報いるのは国として当然の義務ではないでしょうか。(令和元年5月3日記)


<後日記>

 終身雇用の重要性について述べる論文を見つけました。月刊Hanada7月号です。小西美術工藝社社長のD・アトキンソン氏の『「終身雇用ムリ」発言、経団連の無能、無責任』(269p)です。
 アトキンソン氏は、経団連の中西宏明会長が次のように述べたことに対して、強く反発しています。
「<中西会長>正直言って、経済界は終身雇用なんてもう守れないと思っているんです。どうやってそういう社会のシステムを作り変えていくか。人生百年時代に、一生一つの会社で働き続けるという考えから企業も学生もかわってきている。」

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 アトキンス氏は、このような中西会長の発言に対して、次のように反論しています。
「やはり、経団連には経営の才能がない。海外では、人生百年時代のためにどう教育制度を変えるか。たとえば、自動車メーカーでは、高齢者だけのための働きやすい工場を建てたりしています。その工場では、一日中立っていなくてもよくしたり、ラインのスピードを遅くしたりして、生産性は落ちますが、高齢者が働きやすい工夫をしています。
 また、資金的に終身雇用を守れないということはないと思います。2018年の決算では大企業の4割が最高益を出していながら、アメリカの平均の7割程度。しかも非正規雇用の割合はすでに37.8%と高くなっているにもかかわらず、「終身雇用が守れない」というのは理屈が合いません。」
 そのうえで、アトキンス氏は、なぜ、日本の経営者は経営戦略が平凡なのかと問い、その理由は、「人口増加の後遺症で、戦後日本は爆発的に人口が増加し、そのおかげでなにもしなくても需要は大きくなり、経営者は売り上げを伸ばすための工夫、アイデアなどを真剣に考えなくても、売り上げも利益も自動的に増えていったからだ」とも述べています。
 要するに、日本の経営者はコストカットしか考えてこなかったというわけです。マーケッティングやライバル企業との差別化などよりも、安い賃金で一所懸命働く人を集めること、そして商品の単価を下げることが日本企業の「経営戦略」の主流だったというわけです。
 また、アトキンス氏は、日本の人材は、OECD諸国の「人材の質」ランキングで第4位という高い評価を受けていながら、それを安い給料で雇い今後は終身雇用を守らないというのですから、無責任極まりない、とも述べています。

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 結論として、アトキンス氏は次のように述べています。
「人口減少時代に入った現在、生産性を高め、国民の所得をあげていかなければ、個人の消費は減り、経済規模は縮小していきます。そうすれば、日本は今の社会保障制度を維持できなくなる。経団連のような生産性を無視した考えが、ゆくゆくはこの国を滅ぼすことになることを日本の経営者には自覚してほしいと思います。」

◆◆◆(私のコメント)
 私も中西会長の言動、見識に疑問をもっていました。優れた経営者の器ではない、と思っていたのです。
 特に、経団連会長として、中国進出に前のめりになっている姿勢には、強い違和感を抱いていました。中国は、経済力がつくに従い軍事力を急拡大させ、それを背景に周辺諸国を威圧しています。南シナ海における暴虐ぶり、尖閣や沖縄まで自国領と主張し始める膨張主義国家です。しかも、進出した外国企業内に共産党組織を作らせ、強制的に技術を提供させ、儲けた利益を自国に持ち帰らせない、といった理不尽極まりない非民主主義国家です。そういう国に尾を振りながらこびへつらうかのように見える中西会長。その結果、多くの日本企業が痛い目に合う、という想像力が働かないのでしょうか。儲かれば何でもやる、といった姿勢は、近い将来大きな禍根を残すことになるでしょう。(令和元年6月16日記)

 

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