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習近平がなぜ国賓なのか

習近平がなぜ国賓なのか

既成事実化する国賓招待

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 中国の習近平主席を国賓として招待する構想が、着々と進みつつあります。安倍首相は先々月(令和元年6月)27日、20カ国・地域(G20)首脳会議出席のため大阪市を訪れている中国の習近平国家主席と会談し、来年春に国賓として訪日するよう要請したと報じられました。同席した西村康稔官房副長官によると、習主席も良いアイディアだと前向きな姿勢を示し、今後具体的な日程を調整するとのことです。
 その後、この報道は否定されていませんし、中国の王岐山(おうきざん)国家副主席が、10月22日に行われる天皇陛下の「即位礼正殿の儀」参列のため、来日する方向で調整しているとのことです。王岐山は、「虎もハエも叩く」として有名になった反腐敗運動の陣頭指揮をとった人物です。いわば習近平の腹心と言ってよい人物です。王岐山の来日時に、習近平主席の国賓招待を確定的なものにする、ということでしょう。
 習主席の国賓招待については、安倍首相が習主席と会談した際、冒頭に、「昨年10月の私の公式訪問以来、日中関係は完全に正常な軌道に戻った」と言明。その上で、「来年の桜の咲く頃に習近平主席を国賓としてお迎えし、日中関係を次の高みに引き上げていきたい」と述べていましたから、これはもはや既定路線、既成事実と言ってもよいでしょう。
私が分からないのは、次の2点です。第一、何をもって「日中関係が完全に正常な軌道に戻った」と言えるのか。第二、「今の日本にとって重要なのは、トランプと一緒になって中国叩きをすることこそ、日本の国益に資するのではないか」ということです。

日中関係は完全に軌道に戻ってなどいない

 第一の問題。私の認識では、日中関係は完全にどころか、全く軌道に戻っていないと思います。日中間に横たわる問題で最大の問題は、尖閣諸島をめぐる問題です。中国公船が尖閣の領海外側にある接続水域へ侵入したのは、今年6月1日現在で連続50日です。そして1日か2日、間を置いてまた侵入を繰り返す。その間、時々領海侵犯すら繰り返しています。中国は、これまで国民に対しても尖閣は中国の領土だとしきりに宣伝していましたが、今年9月から使われる高校の歴史教科書に、尖閣諸島が古くから中国の領土であると強調する内容が記述される見通しとなった、とも報じられています(令和元年8月4日読売)。
 中国側の底意は、最終的に沖縄を侵略することです。尖閣諸島は、その前哨戦として支配の実績をつくるため、実効支配をしようと目論んでいるのです。得意のサラミ作戦です。毎日やっていれば、マンネリ化してあまり気にしなくなる。このような悪意のサラミ侵略行為を日々行っている国、それが中国という国です。
 東シナ海におけるガス田についても不信な行為の連続です。2008年、日中両政府は、東シナ海の日中中間線付近におけるガス田を共同開発することに合意したにもかかわらず、一方的に自国のみのガス田を設置し、すでに16基も建設してしまいました。そのうえ、昨年11月中旬には、新たなガス田を掘削しているとみられる行為を行いました。日本の民間船が、日本領内で同様の試掘を行おうとしたことがありました。が、中国から「そのような行為があれば容赦しない」と脅され、一歩も手出しをできていません。
 また、靖国神社参拝問題のような内政問題に不当に干渉しているほか、ユネスコに手を回し、30万人という途方もない人間を虐殺したとして、いわゆる南京大虐殺問題を捏造し、世界遺産に登録させました。日本にとって、にっくき国家でしかありません。
 このような対外的に違法、無法な行為は、決して日本にだけ向けられているものではありません。南シナ海におけるいわゆる九段線に見られるように、勝手に海上に線を引き、自国領だと主張する傲岸な振る舞い。しかも、国際司法裁判所の仲裁判断を「紙屑だ」と切り捨てる無法国家。そして、国内的には、チベットやウイグルにおける住民弾圧は、すでに広く世界の知るところとなりました。
 このように、法を無視し、国家間の約束事を守らず、国内的には住民を弾圧し、恬として恥じない国家。それが覇権主義、膨張主義国家、中国なのです。

封じ込めこそが国際社会共通の願い

 第二の問題。それは、このような覇権主義的な無法国家、傲慢な国家の台頭を許してしまっているのはなぜか、ということです。
 それは、中国の経済発展に根本原因があります。中国は経済が発展し、国力が増大しました。その結果、日本を追い抜き、あっという間に世界第二位の経済力を持つまでに成長しました。
 成長の原動力は、社会主義国という特殊な経済構造にあると言ってよいでしょう。土地はすべて国有ですから、地方の行政庁は、広大な土地に自由に線を引き、その土地の使用権を息のかかった開発業者に一括して売却し、巨額の資金を確保する。開発業者は雀の涙ほどの保証金を払い、暴力的行為で住民を立ち退かせ、ビルやマンションを建設する。不毛の土地が一気に近代的土地に様変わりするのです。当然、不満を抱く住民の暴動も伴いますが、権力を背景に強権的に封じ込めます。こうして、国内的には多くの国民の不満を内在しながら、巨大な投資が可能となり、経済発展につながったのです。
 その経済発展の余勢を軍事力増強に振り向け、日本や台湾をはじめ、周辺国を威嚇することにエネルギーを集中してきました。既に二隻目の空母は完成し、三隻目の空母も完成が近いとされています。このような国の空母艦隊がアジアの海を遊弋する姿は見たくありませんが、現実となる日も遠くはないでしょう。
 この勢いが余って、「太平洋を二分しよう」などと持ち掛け、世界の超大国アメリカを怒らせ、強い警戒感を抱かせた、というのが世界の現状と言ってよいでしょう。
 ならば、日本はどのような立ち位置に立てばよいのか。自由と民主主義を否定し、自国民の人権すらも無視・弾圧し、国際法も無視する剥き出しの覇権主義国家中国。それに寄り添うのが日本の国益なのか、それとも人権を尊重し、他国をむやみに侵略しない自由と資本主義の国家アメリカに寄り添うのが国益なのか。改めて問うまでもないでしょう。
 日本の国益を考えるなら、中国という共産党一党独裁の覇権義国家の台頭を抑え込むことこそが、日本の国益であることは言を俟ちません。

中国は弱体化しつつある

 中国は、急速に経済発展を遂げたことで、不動産価格が上昇し、人件費も上昇しました。低賃金の大量労働者という比較優位性は、すでに失われつつあります。後進国が直面する「途上国のジレンマ」です。そのうえ、少子高齢化は、日本以上に速いスピードで進みつつあります。一人っ子政策の負の遺産です
 このため、「世界の工場」という比較優位のポジションは、すでになくなりました。農民工と言われる大量の出稼ぎ農民たちは豊かになる前に、職を失い、帰農を余儀なくされました。中国当局は、輸出ではなく、内需拡大によって経済発展を志向していますが、すでに時遅しです。国全体の富は増えましたが、所得格差が著しく、富は一部の共産党幹部やその取り巻きに分配され、海外に持ち出されるなど、国民生活の向上には寄与しませんでした。貧困にあえぐ、多くの農民工に消費を期待することなどできないのです。
 つまり、中国という国家は、生産の場だけではなく、消費の場としての魅力すらも失いつつあるのです。

アメリカと手を携えて中国を叩き潰すべき

 そういう状況にある時に受けたのが、アメリカからの貿易戦争という名の非軍事攻撃です。習近平が目指していた経済強国と「中国製造2025」がアメリカの癇に障ったのです。この中国製造2025は、2025年までに先進国並みの「製造強国」になり、建国100年の49年に世界トップクラスに立つことを目指すというものです。最終的に人工知能(AI)などの最先端分野で世界市場の9割を独占する、というのが目標です。
 こんな自由と民主主義を否定する共産党独裁国家が世界に君臨するようになれば、世界は真っ暗闇です。小学生にも分かる道理です。アメリカが、ファーウエイやZTEなどを徹底的にマークするのはそのためです。
 習近平がうろたえるのは当然です。中国経済が弱体化しつつあるときに、アメリカから経済戦争を仕掛けられたわけですから、強烈なカウンターパンチになったはずです。習近平は、強気を崩していませんが、この貿易戦争は、圧倒的にアメリカに有利です。互いの貿易量のが圧倒的に違いますし、貿易に対する依存度も違い過ぎるからです。

すり寄りは中国弱体化の証

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 習近平が、日本との関係改善を図ろうとしているのは当然です。経済戦争で勝ち目のない戦いを強いられているからです。隣国である日本は経済力で世界第三位、しかも日本にはドイツと並ぶ技術力もある。その日本と関係改善を図ろうとするのは、国際的な政治力学から見て、至極当然のなりゆきです。
 中国には、1990年代に最高指導者、鄧小平が強調した韜光養晦(とうこうようかい)という言葉があります。「国力が整わないうちは、国際社会で目立つことをせず、じっくりと力を蓄えておく」という考えで、中国の外交・安保の基本方針です。今の中国は、経済力に陰りが出、アメリカからも経済戦争を強いられています。再び、この韜光養晦路線に戻り、暫くは一時休戦を強いられている状態と言ってよいでしょう。
 問題は、日本が、この中国のすり寄りに対して、「日中関係は完全に正常な軌道に戻った」などと浮かれていてよいのか、ということです。良いわけがありません。
 一体、どこが正常な関係に戻ったんですか。尖閣諸島海域への中国公船の不法侵入はほぼ一日の休みもなく、続いています。石垣島や宮古島など、日本の漁民は尖閣海域で操業すらできないのです。逆に、中国漁民は大手を振って操業しているのです。あべこべではありませんか。このように、何ら実態は何も変わっていないのです。
 また、ガス田開発に関して日中合意は無視されたままではありませんか。日本を侵食するサラミ戦略は依然として続いているのです。靖国神社問題も南京大虐殺問題も、何一つ解決していないではありませんか。南シナ海における軍事拠点化も、何も解決していません。
 今、日本にすり寄っているのは、あくまでも緊急時の一時避難に過ぎません。近い将来、アメリカとの経済戦争が沈静化し、安定軌道に戻れば、今度こそ本気で、尖閣、沖縄を狙いに来るはずです。トランプ政権も、仮に次の大統領選に勝利したとしても、あと一期限りです。その後、再度、民主党政権に戻れば、米中接近という事態だってあるかもしれません。いやトランプ自身、いつ中国と手を結ぶか分かりません。米軍駐留という事象も絶対不変というわけではないのです。
 

台湾との連携強化こそ日本の生きる道

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 以上のような観点から、日本が中国との関係を改善する必要は全くありません。むしろ、今は、中国との距離は不即不離、つまりつかず離れずくらいの関係が最善だと思います。ご近所の関係と同じで、深入りするとロクなことがありません。会ったら挨拶する程度が一番いいんです。
 むしろ日本が深入りすべきは、台湾との関係です。台湾は極めて親日的であり、中国の太平洋進出を阻止する防波堤としても、極めて重要な位置にあります。台湾は、古来から、中国の一部になったことは一度もありません。現在も、立法、司法、行政の三権が確立し、警察を組織し、自主的な防衛、外交を展開しています。文字通り、堂々たる独立国です。国共内戦で、蒋介石が毛沢東率いる中国共産党に敗れ、台湾に逃げ込んだという歴史はあります。しかし、それによって、台湾が中国になるわけではありません。山田さんちで夫婦喧嘩をし、妻が伊藤さんちに逃げ込んだら、その家が山田家になるという理屈はないのです。
 台湾が中国に飲み込まれてしまうと、日本のシーレーンが危うくなるだけでなく、尖閣、沖縄も風前の灯火になってしまいます。尖閣が奪われただけでも、中国は、南シナ海と同様、即座に埋め立て工事を行い軍事拠点化することでしょう。覇権国家のDNAはそういうものだからです。
 ですから、日本はアメリカに倣い、「台湾関係法」のような法整備を図る必要があります。更に進んで、日本と台湾とアメリカの相互防衛協定も検討すべきだと思います。さらにその先には、フィリッピンやベトナム、オーストラリアも含めた相互防衛協定も真剣に検討すべきです。
 つまり、自由と民主主義、人権を尊重しない国家とのつながりは、喧嘩をしない程度の最小限の付き合いこそが最良の選択です。
 以上のような観点から、私は、日本政府が習近平主席を国賓として招待することに絶対反対です。(令和元年8月14日記)

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