ブログ/2017-03-29
雪崩で後輩が7人も亡くなりました
車で那須に向いました
3月27日午前、栃木県那須町で雪崩が発生し、7人の高校生とひとりの教諭が亡くりました。生徒は県立大田原高校の生徒たちでした。私も同校の卒業生です。高校を卒業するまで、西那須野町(現那須塩原市)に住み、自転車で同校まで通っていたのです。
そのような縁から、私は父の残した家や田畑を耕すために、厳寒期を除き、毎月帰郷しているんです。雪崩の発生した27日も、真冬のような寒さの中、埼玉県の自宅から車で那須に向ったんです。家を出るときは、雨でした。しとしと雨と言うよりは、かなり冷たく、しのつく雨と言った表現の方が適切かもしれません。
東北自動車道を那須に向かうに従い、雨が霙に変わってきました。これは大変だと思いました。なぜなら私の車のタイヤは、ノーマルタイヤなんです。完全に雪に変わってしまったら、どうにもなりません。
嫌な予感の通り、宇都宮に近づく頃になると、更に、霙から雪に変わってしまったんです。当然、車を左車線に寄せ、80キロの法定速度で最徐行です。これ以上降ってきたらどうしよう、一般道に降りるべきか真剣に悩みました。しかし、案に相違して、那須に近づくにつれ、雪から逆に雨交じりに変わっていったんです。
無事家に到着
そうして、西那須野・塩原ICに無事、到着することができたんです。家に着いたのは、7時を少し回っていました。生徒が巻き込まれた雪崩は、8時30分頃に発生したとされていますから、私が那須の家に到着後、約1時間後に発生したということになります。
事故は夜のニュースで知りました。夜のニュースでは、登山講習会に参加していた県内の高校生で、大田原、宇都宮など県立高校の生徒と女子高生も混じっていたことなどは分かりましたが、詳細は分かりませんでした。確かに、救急車のサイレンの音などが何度か鳴り響いていました。現場に急行していたんですね。
翌日も、ヘリコプターが5機ほど那須温泉の方角に飛んでいくのが見られました。取材機だったのかもしれません。
全員が16、17歳
新聞やテレビの報道によると、亡くなった生徒全員が16歳と17歳でした。これから大学に進学し、それぞれ社会人として羽ばたいていくはずだったのに、本当に気の毒の一言です。気の毒と言うよりも、余りにももったいない。
大田原高校は、私が言うのも何ですが、旧制中学から続く伝統校で、男子校です。「質実剛健」がモットーでした。教室の正面の額に「質実剛健」の4文字が掲げられていたものです。高校時代は、「共学の方が楽しいのに」なんて不埒なことも思いましたが、今から思えば、「気が散らなくてよかった」と思っています。
当時のクラスメートとは、今でも、年に1回程度会い、酒を酌み交わしたりしています。
教育委員会の保身会見
事故を受け、例によって栃木県教育委員会が保身の会見をしていました。「県内の7高校を集めた登山講習会だが、山岳部の顧問などがついており問題ないと思っていた」、なんて言っていました。山岳部の顧問なんていうと、本物の専門家と思うかもしれません。でも、私は疑っています。私自身、中学・高校とサッカー部に所属していましたが、部長は学科の先生が担当していました。中学の時は、図工の先生。高校の時は、物理の先生でした。この部長のことを、今は「顧問」と呼んでいるのかもしれません。
いずれにしろ、大田原高校においては、これらの部長や顧問は、サッカーの専門家でも何でもありませんでした。私立の学校で、スポーツの躍進によって生徒を集めるところならいざ知らず、普通の高校では、そんな専門家を張り付ける余裕なんてないんです。
今回の講習会だって、結果から見れば、私のような素人でも、「地形的に見て、こんな場所でラッセル訓練なんてするか?」というような場所です。到底、プロの山岳家ではないと思います。教科の担任が、山岳部の顧問を押し付けられ、已む無く引き受けて参加した、というのが実態なのではないでしょうか。
でも、教育委員会ばかり責めるのも酷でしょう。一丁上がりで、校長先生から自動的に教育委員会に回されたような人たちでしょうから、そういう人達に責任を取れと言っても無理です。
雪山の訓練はビーコン携帯を義務付けるべき
今回のような雪山での訓練は、ビーコンの携帯を義務づけるべきだと思います。ひとつ5万円くらいはするようですから、個人負担はきついでしょう。学校の備品として購入し、その都度貸与すべきです。
ビーコンを必要とするような危険な場所には行かない、と言うかもしれません。しかし、私たちは、自然に向き合うときは、謙虚になるべきです。雪山では、想定外の突発的な事態が生じる可能性があるからです。自然は、人知をはるかに超えています。
登山家として有名な野口健氏も、テレビで「私自身、雪崩に巻き込まれたことがある」として、雪からはい出した時の映像を公開していました。野口氏のように、ヒマラヤに登るような技量の高い専門家ですら、雪崩に遭遇するんですから、高校生たちが遭難するのは当然でしょう。
父兄の言葉に感銘
何人かの父兄がテレビのインタビューに答えていました。皆さん、沈痛な面持ちでしたが、救われたのは「誰も恨むつもりはありません。誰の責任も問うつもりもありません」という言葉です。
恐らくこの講習会に参加した関係者のすべてが一種のボランティア精神で加わっていたはずです。事故の発生により、「責任を問う」と言われたら切ないと思います。
嘗て、ボランティアとして生徒を引率していった父兄たちが、不慮の事故によって生徒が死亡したとして、訴えられたことがありました。ボランティアで手伝っている人に対して、訴訟まで起こさなくても、と大いに疑問を持った記憶が蘇りました。
でも、今回の父兄の対応は、尊敬すべき大人の対応だと思います。そういう言葉を発する父兄の顔を見ると、なお一層頭が下がります。
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