時事寸評 書評コーナー

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ADRのご紹介

ADRってなに?

 ADRというのは、Alternative Dispute Resolution の略で、裁判外紛争解決手続きのことです。厳格な裁判制度に適さない紛争については、裁判外での紛争解決手続きを認めるべきであるとの趣旨で、従来からも認められてきた制度なのです。
 例えば、行政機関に設けられたものとしては、公害等調整委員会や紛争調整委員会、建設工事紛争審査会などがあります。また、民間でも、交通事故紛争処理センター、国際商事仲裁協会などが、これまでもADRとして、裁判外紛争処理機関として認められています。

なぜ必要なの?

 例えば、自分が車で走行中、ちょっとした接触事故を起こしたとしましょう。自分はまっすぐに走っていたのに、相手の車が急にハンドルを切ったために接触したというようなケーです。相手も「急に猫が飛び出してきたのでハンドルを切った。自分には非はない」と主張し、補修費用の支払いを拒否し対立したとします。
 民事上の紛争ですから、強く支払いを求めるならば、裁判所に訴状を提出して、裁判を受ける必要があります。裁判のやり方なんて分かりませんから、弁護士に依頼します。弁護士からは着手金の支払いを求められますし、成功報酬の約束もさせられることになるでしょう。弁護士に作成してもらった訴状は裁判所から被告に送達され、相手から答弁書が提出されます。そして第一回の口頭弁論開始となり、当事者双方が出席します。争いがある部分について現地で検証が必要になるかもしれません。口頭弁論も一回で済めばいいですが、二回三回と重なれば、簡単に半年1年と経過します。長くなれば弁護士費用もかさむかもしれません。しかも、自分の身近で、気軽に頼める弁護士なんてそうそういるものではありません。
 さあ、あなたは、それでも裁判をやりますか?ほとんどの人は、そこであきらめてしまうのではないでしょうか。それでは、国民の権利が守られたということにはなりません。
 このような場合に、ADR(裁判外紛争処理機関)の出番となるのです。交通事故の紛争処理を専門に扱う機関ですから、担当の調停委員は交通事故処理の専門家ですから、裁判のように時間と費用をかけずに解決の方策を示してくれることが期待できます。ADRというものがこのような制度だとすれば、多くの国民は裁判ではなく、このようなADRを活用する道を選ぶはずですね。
 もっとも、現在は、保険制度が発達していますから、保険会社の担当者同士で話し合いをし、その内容を当事者に示して納得させてしまうということも多いようですね。

埼玉県行政書士会でも始動

 このような簡易迅速な調停機関を設置することが可能であるならば、国としても、出来る限りこのような制度を活用できる分野を拡大していくということは、いわば国の責務であるということができます。このような趣旨から、国は、平成16年12月1日に「裁判外紛争解決手続きの利用の促進に関する法律」を公布し、平成19年4月1日から施行することとしたのです。
 この法律の施行によって、今後は、裁判外の紛争処理機関の設置及び活用が積極的に図られていくことになるでしょう。行政書士の活動分野でも、業務拡大の観点から、この制度を積極的に活用するため、「行政書士ADRセンター埼玉」を立ち上げ、依頼者の利便に供することとしたのです。

当面の活動分野

 行政書士ADRセンター埼玉が取り扱うことができる業務分野は、当面、次の4つの分野に限定されています。

  1. 離婚に関する紛争
  1. 相続に関する紛争
  1. 交通事故に関する紛争
  1. 敷金の返還をめぐる紛争

これら4つの分野は、紛争案件も多く、専門性も高いことから、国としても行政書士ADRセンター埼玉にこれらの紛争の調停手続きを行うことを認めることになったのです。
 

調停の法的効果

 当事者間で合意が成立した場合には、合意の内容を文書で記載し、当事者が署名捺印をするほか、調停委員も、署名なる印をすることになります。
 問題は、そのようにして成立した合意書の法的な効果です。これは、ADR制度を活用する場合、ほぼ共通ですが、次のような効力が生じることになります。

和解成立のとき

 和解には、私法上の和解と裁判上の和解とがあります。裁判上の和解は、和解の内容が和解調書に記載され、その記載内容は確定判決と同一の効力を有します(民訴法267条)。したがって、和解調書は、確定判決と同様、債務名義(強制執行により実現される給付請求権の存在を公証する文書)となり、これに基づいて強制執行をすることもできます。
 しかし、ADR法に基づく和解は、民事上の和解と同じ効力しか生じません。民事上の和解とは、裁判外の和解ともいい、法律上は典型契約の一種として取り扱われます。一般の示談などと同じ効力です。

不調に終わったとき

 時効の中断に関しては、この調停終了後、調停が不調に終わった旨の通知を受けた日から1月以内に裁判所に訴えを提起したときは、ADRセンターに申し込みをした時(紛争解決手続きを行った時)に訴えの提起があったものとして、時効の中断効が認められています。

行政書士が積極支援

 これら4つの分野に関する紛争が生じたときには、その紛争当事者が埼玉県行政書士会が設けた「行政書士ADRセンター埼玉」に対して調停の申し立てをすることができます。
 個々の行政書士は、紛争当事者が申し立てを行う際に、当事者の依頼に基づいて、申立書作成の手助けをします。もちろん申立書を当事者が自分で作成することは何ら差支えありません。しかし、紛争の内容を整理し、自分の主張として論理立てて文章化するということは、一般の人にとって苦手な人も多いはずです。そのような場合には、街の法律家を任ずる私たち行政書士に、申立書の作成をお任せ下さい。**裁判をすることも可能 [#i7d94c5d]
 もちろん、紛争の当事者が裁判所で厳格な裁判を受けたいというのであれば、一向に差支えのないことです。裁判を受ける権利は、憲法第32条で「何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪われない」と定めている国民の基本的権利ですから、それが奪われることは絶対にありません。
 ADRは、厳格な裁判でなくてもいいから、もっと簡易で迅速な紛争解決を求める国民のニーズにも応えていこうという、いわばバイパス的な制度なのですから。

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