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教育国債が実現するかもしれません

教育国債が実現するかもしれません

自民党がプロジェクトチームを発足

 私は、かねてよりこのコーナーで子供の養育費、教育費は無償にせよ、との主張をしてきました。養育費まで無償にするのは行き過ぎ、との主張もあるかもしれません。が、少子化に苦しんでいる日本の実情を考えれば、教育費に留まらず、養育費についても無償化することが、デフレに苦しむ日本にとっての根本的な対策になると考えるからです。

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 養育費と言っても、自宅でのミルク代や食事代まで負担せよと言っているのではありません。保育園や幼稚園に払う費用、それに習い事(2つまで)くらいは無償化してもよいではないか、という主張です。なぜならば、保育園や幼稚園は、どこの子供もお世話になっているものであり、今はこれらの園に通わせていない子を探す方が難しいはずです。だったら、教育費を無償にしている小中学校と同じではありませんか。親の立場からすれば、区別する方が不思議というものです。
 周知のことですが、日本は無資源国です。唯一、資源があるとすれば、人材です。人という資源なのです。この資源しかないというのに、その貴重な資源を大事に育てようとせず、幼少期から貧困の連鎖を生じさせたうえ、幸運にも卒業まで漕ぎつけた大学生には400万円にも達する借金という往復ビンタを食らわせるなど、とても人材育成に力を入れている国とは言えません。それが現状なのです。
 これらの養育費、そして小中高校、大学の費用をすべて無償化すべきだと思います。そのためのプロジェクトチームを自民党が立ち上げたとのニュースが今月(平成29年2月)3日の読売新聞に掲載されました。いよいよ自民党も本気になってくれたか、と小躍りして記事を読んでみました。

大学無償化が先とは

 しかし、記事を読んで少しガッカリしました。自民党のPT(プロジェクトチーム)が検討しているのは、「大学・短大」の無償化だったのです。つまり高等教育の無償化です。
 記事を更に仔細に読んでみると、「PTでは高校や幼児教育にかかる費用の無償化も検討する方針」とありますから、高等教育の無償化の後には高校や幼児教育についての無償化も検討もするようなので、一応、ほっとしました。
 自民党のPTは、なぜ高等教育の無償化を先行させようとしているのでしょうか。大学生はすぐに卒業するから即効性がある、ということでしょうか。確かに、大学の学費を無償化すれば、1年後には最初の卒業生が出るから効果が見えやすいでしょう。養育費を負担しても、効果が出てくるのは22年も先の話、ということになれば、とても今年や来年の選挙に勝てない。そんな思惑が透けて見えるようです。

夢と希望を与えるのは為政者の仕事

 でも、このような自民党的発想は余りにも近視眼的です。私は、むしろ養育費の無償化を先に行うべきだと思います。保育園、幼稚園、習い事(2つまで)のすべてが無償化される、しかも、その数年後には高校、短大、大学の無償化が進んでいくという道筋が見えれば、デフレ経済で苦しんでいる日本人の気持ちをどれほど明るくさせるでしょうか。政治家は、この「気持ち」を明るくさせることが重要なのです。希望をもって生きることと、希望を持てないで生きることには、天と地ほどの開きがあります。

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 私が中学生の頃、池田勇人という総理がいました。記者会見で「これから10年で国民の所得を2倍にする」と言ったんです。「え~!?給料が倍になるの~。すごいな~」と単純に思いました。そして実際にはたったの7年で所得は倍になりました。仮に、これが2倍にならなかったとしても、あの総理は素晴らしかったと思います。国民に未来への夢と希望を与えたからです。そして日本人は夢に向って進み、実際にそれを実現したんです。
 景気の気の字は、気持ちの気だとも言われます。景気はみんなの気持ちが明るくなれば、よくなるんです。池田総理のように、国民に夢を与えるのも、政治家の大事な役割です。民進党のように、重箱の隅を突つくような議論ばかり、言葉の揚げ足をとるような議論ばかりしていては、国民の気持ちは鬱積するばかりで、少しも明るくはならないのです。

養育費も即効性があります

 小中学校は義務教育ですから、授業料はとられません。でも、私立の場合には有料ですから、無償化(補助)の対象に加えるべきでしょう。
 このような養育費・教育費無償化に対する明るい見通しが見えてきた暁に、日本人の気持ちがどのように変わっていくか、想像できるでしょうか。
 先ず、今独身でいる若者たちの気持ちです。「そうか、これからは養育費や教育費の心配をしなくていいのか。それなら経済的にかなり楽になるから結婚できるかもしれない。いや、絶対に結婚しよう。」という気持ちになるはずです。
 今、子育て中の家族の場合は、「え~!!今負担している保育園や幼稚園のお金、それに習い事のお金もタダになるの~!?夢じゃないの~。じゃ、これまでせっせと貯金していたお金で欲しいものでも買っちゃおうかしら」なんて、思うはずです。気持ちも弾んでくるというものです。
 このように養育費の無償化には即効性があるんです。私のような高齢者は買いたいものは殆どありませんが、若い人は、買いたい物が山ほどあります。車も買いたい、家具も買いたい、装飾品も買いたい、家も買いたい。できればデパートごと買ってしまいたい、というのが若さの特権なのです。
 若い世代が元気になる方が、消費も促され、社会も明るくなるんです。自民党のPTには、もっと大局を見て頂きたいと思います。

どこからお金が降ってくるのか

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 そんなお金、一体どこから降ってくるんだ。古くから言われているように「タダほど高いものはない」となるに決まっている。必ずそういう議論が出てきます。
 でも、考えてみてください。ここに2人の老夫婦がいたとします。その夫婦に、2,000万円の貯金があったとします。馬鹿々々しい、そんなたとえ話をされても、年寄りにそんな大金があるはずがない、と思いますか?
 ところがあるんです。総務省の2014年の全国消費実態調査によると、世帯主が70歳以上の世帯では貯蓄が平均1,824万円、60歳から69歳では1,991万円だったんだそうです。現金預金の額がこれほどあるんです。全国民の家計の金融資産は2016年9月末時点で、1,752兆円、このうち現金預金は、上のグラフに示すように何と916兆円に達しているんです。
 例として挙げた老夫婦の現預金はどうなっているのかと言えば、文字通り、現金として持っているか、貯金として持っているかです。時々、泥棒に入られて1千万円盗まれたなんていう事件がニュースになったりしますから、タンス預金として持っている人も多いのでしょう。本当にもったいない話です。

お金は活かして使うもの

 教育の無償化とは、正にこのように死蔵されているお金を引き出して、有効に使っていただくということなのです。お金は有効に使ってこそ活きてきます。回転させる、お金は回せば回すほど活きてくるのです。この発想に従えば、タンスにしまっているお金や、利子もつかないのに貯金したままになっているお金を使いやすくしてあげる、というのは正しく社会政策としても望ましい施策なのです。

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 具体的に言えば、「教育国債」を買うことによって、養育、教育、子育てに投資をしていただくんです。投資という言葉に抵抗があるなら、貢献の方が良いかもしれません。未来の子供たちのために「社会貢献」をしていただくんです。
 いままでタンスの中に眠っていたお金が、突如、幼い子供の養育費にななる。そのことによって、若い世代の両親の家計が潤い、消費を促します。消費が増えれば、生産も促されます。生産が増えれば労働者の賃金も増えます。当然、子育てにほとんどお金がかからない、となれば子供の数も増えます。安心して子供を産めるからです。子供の数が増えれば、年金財政も安定します。年金財政が安定すれば、若者世代は将来への大きな不安が解消されることになります。
 つまり、お年寄りがお金を出してくれることによって、「みんながハッピーになれる」のです。もちろん、お金を出すのは、高齢者に限る必要はありません。40代、50代のお金のある人も、それなりに買ってくれるかもしれません。

喜んでお金を出せる仕組みづくりをするだけ

 日本国内にお金がないわけではないんです。ないのは、「うまくお金を回す仕組み」がないだけです。もっと言えば、高齢者に喜んでお金を出してもらえる仕組みがないだけなのです。その仕組みとは何か。それが「教育国債」という訳です。
 この教育国債は、原則20年償還でいいと思います。20年国債とは、20年後に償還しますというものです。途中で売れないわけではありません。何らかの事情でお金が必要になったら、国債市場がありますからいつでも売れるんです。
 問題は、この国債の利息をどうするかです。国債には、プラスの利息をつけるのが普通ですが、相続税の課税対象から除くという恩典をつければ、「マイナスの利息」でもいいと思います。なぜなら、まとまった金額が相続税の対象から除かれるなら、相続税対策として買ってもいい、という高齢者は多いと思われるからです。

感謝状もつけましょう

 高齢者のお金は、いずれ相続の対象になります。その段階で相続税として引かれるよりも、自分が生きている間に社会貢献として使えるならその方がいい、と考える高齢者は少なくない筈です。

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 そして、このような社会貢献をしてくれた高齢者には感謝状を差し上げるべきです。高齢になって、公の機関から「社会に貢献していただいた」という感謝状をもらえるなら、喜んでお金を出してくれるはずです。
 日本には名誉を重んじる文化があります。財務大臣から感謝状と記念品などもらえるなら、それだけでも名誉と感じる高齢者は多いはずです。感謝状や記念品のお金なんて知れたものです。
 高齢者にとって、お金は決して国や公共団体からむしり取られるわけではありません。自分の子供や孫のため、あるいは広く日本の未来の子供たちのために貢献できる、というなら誰が嫌がるでしょうか。元々タンスの中に眠っていたお金、あるいは銀行の中で無利息(今は実質的にマイナス金利と同じです)で塩漬けになっていただけのお金です。そのお金で子育て世代から感謝され、日本経済の活性化に貢献でき、年金財政も安定する。そのうえ、感謝状や記念品まで頂ける。お金を活かして使う、とはこういうことではないでしょうか。
 ようやく自民党も、このお金の回る仕組みに気づいてくれたようです。日本維新の会も、高校や幼児教育にかかる費用を無償化する方向で検討に入ったようです。この政策を進めてくれるなら、どこの政党が進めるのも大歓迎です。
 自民党と日本の維新の会でタッグを組んで、言葉の揚げ足取りばかりに熱中している民進党を蹴散らし、政策を実行していただきたいと思います。

財務省のブレーキは断固排除

 この政策を実施する際の最大の難関は財務省です。財務省は、必ず、相続税が減るとか、貯蓄率が下がり、金融機関の財務体質が悪化するとか、必ず「負の主張」をします。「できない」「無理だ」という理由を次から次へと挙げるはずです。
 それを乗り越えるのは政治の力しかありません。実行力のある安倍総理なら、必ずできます。そしてこれをやり遂げれば、アベノミクスの三本の矢と同等以上の効果を上げることができます。
 今の日本は、依然としてデフレのさなかにあります。安倍総理の意気込みは多としますが、金融政策だけではアベノミクスは実現できないのです。「機動的な財政政策」と「民間投資を喚起する成長戦略」が欠けているのです。今は明らかに民間の需要が足りないのです。需要がないから、いくら金融機関が貸し出しをしようとしても貸し出しが増えないんです。こういう場面では、政府が直接需要を喚起するしかありません。政府が投資すべき分野はいくらでもあります。危険な通学路を整備したり、老朽化した水道管やガス管、橋、トンネル、堤防を更新したり、耐火建築を促進したり、社会インフラのスクラップ&ビルドをすれば、需要はいくらでもあるんです。藤井厳喜氏のように、日本縦断のガスパイプラインを構築すべきだというような意見もあります。
 ここに挙げた教育国債は、財政政策を補完するものであり、成長戦略、将来への不安解消にも貢献する重要な施策となりうるものなのです。

憲法改正につなげる可能性も

 先の2月3日付けのより読売新聞によると、日本維新の会は、「幼児教育から高等教育までの無償化を憲法に明記する改憲」を主張しているようです。それも大いにありだと思います。現在の自民党と公明党だけでも憲法発議に必要な3分の2の勢力を持っていますが、日本維新の会を取り込んで「与野党で憲法改正の発議」をしたことにすれば、民進党などの強硬反日勢力からの批判も幾分緩和されることでしょう。
 民進党だって、本当はこの政策をやりたいはずです。全国の子育て世代に歓迎されるシステムに反対したら、それこそ有権者から総スカンを食うはずです。財務省の尻馬に乗っていたなら、早晩、いや即座に社民党への道をまっしぐら、ということになります。政府与党、日本維新の会に大いに期待しています。(H29・2・19記)


<注>教育国債を発行する場合、財政法など法的に抵触する問題はないのか、という点については、別稿で説明しています。
教育国債を発行する際の法的問題については→こちらから
 
 

 

 

 

 

 

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