時事寸評 書評コーナー

welcome to shimada's homepage

世界卓球選手権、南北合同チームの偽善

世界卓球選手権、南北合同チームの偽善

試合途中のルール変更

 スエーデンのハルムスタッドで開催された第54回世界卓球選手権ほど腹の立つものはありませんでした。女子の決勝トーナメント準々決勝で、対戦する予定の韓国と北朝鮮が、急遽合同チームを結成することになったからです。試合の前に合同チームを結成するというなら分かりますが、いくら何でも準々決勝を前にして合同リーム結成はないでしょう。
 合同チームを結成すれば、戦わずして両チームともメダル確定です。しかも、メダル確定後の合同チームの対戦相手は日本です。韓国、北朝鮮とも単独チームなら日本には負ける、というのが定説でしたから、急遽、合同チームを組むことになったんでしょう。

合同チームの方が断然有利

画像の説明

 卓球の場合、団体戦といえども、実質的には個人戦と同じです。一番強いと思われる3人を選抜し、一対一で対戦するからです。合同チームなら、韓国、北朝鮮両チームから一番強い選手を選抜することができます。北朝鮮に強い選手がひとりもいなければ合同チーム結成の話はなかったはずです。
 1番手に抜擢された伊藤美誠はプレッシャーをはねのけ、初対戦となる韓国のチョン・ジヒを3-0で下し、2番手の石川佳純も北朝鮮のキム・ソンイをフルゲームの末に破りました。そして3番手の平野美宇も、アジアを制した高速卓球で、韓国のヤン・ハワンを3-1で撃破しました。
 結果は、日本の勝利でホッとしましたが、北朝鮮のキム・ソンイ、世界ランクこそ50位(2016年8月時点)ですが、リオデジャネイロ五輪の女子シングルスで、石川佳純は彼女に敗れています。北朝鮮の国内事情から国際大会に余り出ていないため、ランクこそ低いものの実力は十分にあるのです。そういうことが分かっているからこその合同チーム結成だったのです。

突然アナウンスで発表

 それにしても、この合同チームの発表は唐突でした。報道によれば、和気あいあいとした雰囲気に包まれていた中で、いきなり場内アナウンスで「北と南はお互いが戦うことを望んでいない。準々決勝で戦わずに、準決勝で統一チームで戦う。名称はコリア」と発表されたというんです。
 それから5時間後には国際卓球連盟(ITTF)のトーマス・バイカート会長、IOCメンバーの柳承敏(韓国)が記者会見。「昨日のITTFでの新財団のレセプションで両チームと話し合って決めた。アクシデント(偶然)のような出来事だった」というんです。
 もう無茶苦茶としか言いようがありません。「北と南がお互いに戦うことを望んでいない」だなんて、それなら最初から合同チームとして出場しろよ、というだけの話です。
 バイカート会長は「これはルールを超えた出来事だ」と語ったということですが、そもそもスポーツにおいて、ルール以上に大事なものなどあるのでしょうか。この会長は、ルール以上に政治状況に配慮したということです。スポーツ大会の会長が「ルールを超えた出来事」というなら、会長の資格はありません。政治家になれ、と言いたい。しかも、その理由が「お互いに戦うことを望んでいない」というだけの理由だというんですから、もはや開いた口がふさがりません。戦うことを望んでいないなら、不戦敗になるのがルールというものです。
 どんな試合でも、戦うべき相手が決まってから、「戦うことを望んでいない」という理由で、両方とも勝ったことになるなら、今後は、そういう手が使えるということになります。

過去にもあった

画像の説明

 確かに、朝鮮戦争で分断された国家をスポーツでひとつにしようという動きは、過去にもありました。国際オリンピック委員会(IOC)が統一チームとして東京五輪に参加するよう勧告し、香港で南北の関係者が会談したが、チームの名称や選手の選抜方法などで意見が一致せず、そのまま協議は打ち切られた、なんていうこともあったそうです。
 そうした交渉のさなか、1987年にITTF会長に就任した荻村伊智朗は、卓球競技だけでも北朝鮮がソウル五輪に参加できる道を探ったが、結局、競技の振り分けなどを巡って紛糾。北朝鮮はソウル五輪への不参加を表明した、なんてこともあったのです。
 いずれにしろ、統一チームというのは、大会前に調整すべきもので、試合開始後、それも準々決勝の段階で突如合同チームになるなど、絶対に許されるべきことではないのです。我儘以外の何物でもありません。
 最終的には準優勝ですから、結果オーライになりましたが、本来、日本は、、大会をボイコットしてでも断固抗議をすべきケースだったと思います。仮に、この準決勝で日本が負けたらどうなったのでしょうか。合同チームが喜ぶ姿を見て、日本チームはどんな顔をすればよいのでしょう。

スポーツには常に不快がつきまとう

画像の説明

 スポーツにおける不愉快な出来事には、いろいろあります。カナダ・バンクーバーオリンピックでの浅田真央がキム・ヨナに負けた試合。浅田は、オリンピックの女子シングル史上初めてSPで3回転アクセルを成功させました。同一競技会でSP、フリーと合わせて3度の3回転アクセルを成功させたのも女子シングル史上初で、ギネス世界記録にも認定されているほどです。その浅田が3回転アクセルに挑戦しないキム・ヨナに敗れたのです。どう考えても納得できませんでした。
 また、韓国で行われた世界卓球戦でのことだすが、日本のエース水谷隼が、試合の後で語った言葉が印象的でした。「常に自分の方向に風が吹く」というんです。卓球の玉なんて軽いですから、向かい風より追い風の方が有利に決まっています。その冷房用の風が攻守ところを変えても、「常に向かい風になっていた」というんですね。卑怯な国、韓国だったら、これくらいのことはやるだろうなというのが、その時の率直な感想でした。
 冬季五輪で日本選手がジャンプ台を独占したことがありました。その後開催された国際スキー連盟の役員会で、急遽、「スキーの長さを身長に比例させる」という改正がなされたのです。身長の短い日本選手は、長いスキー板を持ってはならない、というわけです。こんなことが堂々と決定されるスポーツという名の人種差別。これが世界の現実です。
 今回の統一チームもこれに匹敵する、悪辣なルール変更でしかありません。いやルールという名にも値しない、政治・プロパガンダの持ち込みです。思い出すだけでも不愉快になる案件ですので、一筆認めました。(文中:敬称略)(H30・5・8記)

 
a:158 t:1 y:0

powered by Quick Homepage Maker 5.1
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional