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マイナカードと保険証の紐づけは有益です

マイナカードと保険証の紐づけは有益です

ミスが続出

 マイナカードをめぐるミスの実態がひどい。7月5日時点で、マイナ保険証に別人の情報が紐づけされたケースが7372件、マイナンバーと預貯金口座を紐づける「公金受取口座」の誤登録は940件、本人以外の家族名義で登録した可能性が高い事例は約14万件、コンビニで住民票などの証明書の交付受ける際、他人の住民票が交付されたという件数も14件となっています。
 こういう実態を見ると、嘗ての「消えた年金問題」を思い出します。消えた年金問題とは、年金記録改ざん問題とも言われ、厚生年金の算定の基礎となる標準報酬月額の記録を社会保険事務所の職員が意図的に改ざん、もしくは消去していたという問題です。

デジタル化

 私は、マイナンバーカードと健康保険証を紐づける、すなわち一体化するという話が出たとき、相当の混乱が生じるだろうと予想しました。なぜなら、問題の本質は、消えた年金問題とほぼ同質の問題を孕んでいたからです。一体化するということは、その前提としてデータを結び付ける作業が必要です。この結び付ける作業というのを、人間が行う必要があるのです。文字通りアナログの世界です。
 日本人の名前は極めて複雑です。漢字が複雑なだけでなく、読み方も面倒です。因みに、「わたなべ」という名前の漢字は、「渡辺」「渡部」「渡邊」「渡邉」など、実に58種類もあるそうです。
 名前は更に面倒です。女の子の名前は、 桜空 (みく)、希星 (きらり)、心桜星 (うらら)、雫音 (しおん)、風杏 (ふうあ)、心々愛 (ここあ)といった名前がずらり。いわゆるキラキラネームです。男の子の名前も、 龍飛伊(るふぃ)、騎士(ないと)、煌(きらめき)、蒼空(そら)といった判じ物のような名前が数限りなく出てきます。
 住所だって同じです。私の住所、○○一丁目50番3号という表記も、1丁目50ー3号と書いたり、1-50-3と書いたり、必ずしも統一していません。それでも実生活でほとんど不便はありません。しかし、これをマイナカードと紐づける際には、どれが正しい住所なのか、担当者は判断に迷うことになるでしょう。それらを一切の誤りなく入力し、紐づけるというんですから容易な作業ではありません。
 マイナンバーカード自体は12桁の数字で表記されますが、これを保険証と一致させるためは、アナログによる入力作業が必要になります。その作業を市町村役場の職員が行っている姿を想像するだけでも、多くの誤入力が生じるであろうことは容易に想像できます。
 逆に、現在、よくこの程度のトラブルで済んでいると、驚くばかりです。おそらく今後作業が進むに従い、天文学的なというのは大げさとしても、相当数の誤入力件数が上積みされことになるでしょう。

健康保険証の悪用がひどい

善良な国

 マイナンバーカードと健康保険証の紐づけには、批判が集中していますが、この紐づけがよくないのかと言われれば、私は「否」と答えます。なぜなら、健康保険証の悪用がひどい状況になっているからです。現在の健康保険証は、氏名と生年月日、性別、有効期限があるだけです。顔写真もありません。ですから男の兄弟が一枚の保険証を使うことも可能でしょう。日本人の場合は、その必要性はあまりないでしょう。
 しかし、外国人の場合、同国人同士で使いまわすことはいくらでも可能です。氏名と生年月日なんて、外見から見れば判別できません。家族だけでなく、隣近所同士でさえ使いまわすことが可能なのです。ひどいケースだと、外国に住んでいる知人が、日本の高度医療を受けたくて来日し、日本の病院で高度医療を受けるなんてことも少なくない、とされています。
一例ですが、神戸市では、平成26年に不法滞在のベトナム人女性が妹の国民健康保険証を利用し、2年以上にわたって総額1千万円以上のHIV(エイズウイルス)治療を受けていた、ということが発覚しました。このように「高額療養費制度」を利用すると、高度な医療を受けても月数万円程度に抑えることが可能とされているのです。
 このほか、海外で出産した外国人に国保から42万円の出産育児一時金が支払われたケースなどの例も報告されています。このため、厚労省は、今年2月までの1年間にかかった国保の医療費のうち、外国人が占める割合なども調べるとしていますが、あまりにも遅きに失したというべきです。

利便性にこそ着目しよう

 マイナカードと健康保険証を紐づけるとどのようなことが便利になるのか、それを考えてみましょう。一般に言われるのは、次のようなことです。

紐づけによるメリット

◆健康保険証を持ち歩く必要がなくなる。
◆初診料の負担が軽減される。
◆医療機関での支払いが、高額療養費制度の自己負担限度額分までで済むようになる。
◆医療機関がオンラインで薬剤情報などの患者情報を確認でき、問診等の業務負担が減る。
◆就職・転職・引っ越しをしても健康保険証として使える。
◆自分の特定健診、薬、医療費の情報が確認できる。

 このように、マイナポータルから保険医療を受けた記録が参照できるため、領収証を保管・提出する必要がなく、簡単に医療費控除申請の手続きができるようになります。
 また、ここには記載されていませんが、身分証明書としての機能も果たすでしょう。私のような後期高齢者は、免許証が身分証明書の役割を果たしていますが、免許を返納してしまうと、自分が自分であることを証明するものがなくなってしまいます。その点、顔写真のついたマイナカードがあれば、身分証明書としての機能を果たすことが可能になります。
 また、高齢者は病院に行く機会が多くなりますが、マイナカードが健康保険証を兼ねてくれるなら、その恩恵は少なくありません。

返納は意味がない

ラサール

 ラサール石井氏がSNS上で「マイナカードを返納した」と宣言し、話題になっています。松本総務相は7日の記者会見で、カード返納や廃止の件数が47万枚に達したと述べています。どうして日本人は、物事を客観的かつ合理的に理性をもって判断できないのでしょうか。いや、その大部分は、健康保険証はしっかり持ったまま、マイナカードだけを返納した、ということなんでしょうね。
 返納するのは勝手ですが、得することは何もありません。返納してもマイナンバーはそのまま残りますし、自分が不便になるだけです。不便になるというより、利便性の恩恵を享受できないことになります。
 現在は、混乱が目立っていますが、このような大規模なシステムの場合、「移行期における避けがたい混乱」と割り切るべきでしょう。
 例えば、みずほ銀行の例を挙げます。同行は、日本興業銀行、富士銀行、第一勧業銀行が合併してできた銀行です。合併後、システム障害が多発したことは記憶に新しいところです。2021年2月には、みずほ銀行の店舗などのATM4318台で、通帳やキャッシュカードが吸い込まれて取引不能になる障害が発生しました。同年9月には8度目のシステム障害が発生し、社長ら3人が辞任に追い込まれる事態に発展しています。合併した3行はそれぞれ異なるシステムを採用しており、合併時にそれぞれが自行システムの採用を主張し、折衷的なシステムとなったことがその原因になったとされています。このように、システムの統合というのは、極め て困難な作業が伴うのです。
 ましてや自治体職員の、手入力を前提としたシステムなら、膨大なミスが生じるであろうことは容易に想像できます。

それでも紐づけは有効有益です

 日本社会におけるデジタル化の遅れは、つとに有名です。スイスのIMD(企業幹部の教育に特化したビジネススクール)が2020年に行った「世界デジタル競争力ランキング2020」では、日本は63か国中27位でした。前年より4つ順位を落としており、年々デジタル競争力を高めている香港・韓国・台湾と比べると、対照的な結果になっています。
 特に評価が低かった項目は、ビッグデータの活用、企業の変化迅速性、将来への準備度部門のデジタル人材のグローバル化で、この3部門は63か国中最下位となっているのです。技術大国日本がこの有様なのです。日本の企業文化には、長年にわたって「紙」を重視する文化が根付いており、そのためにデジタル化が進まなかったという指摘もあります。

紙の文化

 コロナ禍で経験したように、保健所同士のデータのやりとりが、今でもファックスをつかっている、ということに多くの国民が驚きました。
 このように世界レベルでも遅れてしまったデジタル化の波に、少しでも追いつくことが技術大国としての日本が進むべき道なのではありませんか。その意味でも、さまざまな障害が生じてはいますが、私は、この紐づけは是非実現すべきだと思います。
 また、全国民がマイナンバーカードと銀行口座の紐づけも行うべきだと思います。すべての口座の紐づけではありません。1口座だけでいいのです。これができていたなら、2年前に支給された一律10万円の特別定額給付金など、瞬時に全国民に支給することが可能だったのです。
 銀行との紐づけは、自分の財産を国(行政)に把握されてしまうからいやだという国民も多いでしょう。それは国民の同意がなければできません。集金平、いや習近平様なら可能ですが、日本は民主主義国家です。同意もなしに全口座など紐づけできるわけがありません。いくつかある口座のうち、比較的残高の少ない口座と紐づけておけば済む話です。
 要するに、普通の善良な国民にとって、マイナカードと健康保険証や銀行口座との紐づけなど、一般の庶民にとって恐ろしくも何ともないのです。それとも貴方は、国から隠しておきたいほど、巨額のお金をお持ちなんですか?

最後に

 この健康保険証との紐づけ問題に関し、一つ腹立たしいことは、この紐づけ担当するデジタル庁の大臣が河野太郎だということです。周知のとおり、彼は名うての親中派議員です。彼の兄弟が中国で太陽光パネルの会社を経営し、父の河野洋平衆議院議員もその会社の役員をしている、ということも関係しているのでしょう。

画像の説明

 彼の日頃の言動は極めて高圧的で、役人を叱り飛ばすということでも有名です。そして自分にとって少しでも気に入らないことがあると、SNSをブロックするということでも有名です。因みに私のような高齢者に対しても、何か意見を言ったら即座にブロックされました。
彼が防衛大臣の時には、陸上に設置する予定だったイージスアショアを、一切の根回しもなく、いきなり廃止してしまったなんてこともありました。
 要するに、高い見識があるとも思われないのに、態度ばかりが高飛車なのです。こういう大臣が陣頭指揮を執るのでは、組織がうまく回らないのは当然です。本来、国のトップたらんとするものは、大局観、歴史観、国家観、先見性とあらゆる能力が卓越していることが求められます。そのすべてを求めるつもりはありませんが、この河野大臣から、それらの香りすらも感じたことがないのです。こういう人物が次の総理候補のナンバー1であることが不思議であり、日本の不幸でもあります。(R5・7・8記)

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