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契約の解除

内容証明

契約の解除

契約解除の基本原則

契約を解除するためには、

  1. 相手が契約の内容を履行しない。
  2. 相当の期間を定めて履行するように催促する。
  3. それでも相手が履行しない。
  4. 解除の意思を伝える。

という手順を踏んで解除すべきものです。そうでないと、一方的解除として、損害賠償責任を問われることになります。

 特に、不動産の売買や請負契約になりますと、金額が大きくなりますから、慎重に行動する必要があります。不動産の売買の場合、民法では、「相手方が履行に着手するまでは手付を放棄して契約の解除ができる」と定めています。この条文では、次の二つのことを定めているのです。

  1. 契約の解除ができるのは、相手方が履行に着手するまでであること、
  2. 相手が履行に着手した後は手付放棄解除はできないこと、

です。それでは、「履行の着手」とはどういうことなのか、ということが問題になりますが、ここでは、長くなるので説明を省略しますね。
   興味のある方は→→ 「履行の着手とは」
要するに、いったん契約してしまったら、簡単には、契約を解除することはできないのです。自分が契約を解除される立場に立てば、すぐに理解できます。高級な着物の仕立てを頼まれて、特注で生地を仕入れ、裁断を始めたところで、契約を解除された場合、あなたならどうしますか、ということです。

契約解除の例外(消費者保護)

*クーリングオフ

 消費者が事業者から商品やサービスを買った場合には、一定期間内であれば一方的に契約解除ができます。これをクーリングオフと言います。クーリングオフは、消費者保護という観点から、その理由のいかんを問わず契約の解除ができます。ただし、どんな契約でも解除ができるというわけではなく、次に定めるような場合にのみ可能です。

               クーリングオフ一覧表

商品・販売方法・契約等の種類クーリングオフの期間関係法令
訪問販売(キャッチセールス、アポイントメントセールスを含む。政令指定の商品、役務、権利に限る書面受領日から8日間(注1)特定商取引に関する法律第9条
電話勧誘販売(政令指定の商品、役務、権利に限る。)書面受領日から8日間(注1)特定商取引に関する法律第24条
連鎖販売取引(マルチ商法)契約書面受領日から20日間(但し、商品再販売の場合は、契約書面受領日か最初の商品受領日の遅い方から20日間)(注1)特定商取引に関する法律第40条
特定継続的役務提供契約書面受領日から8日間(注1)特定商取引に関する法律第48条
業務提供誘引販売契約書面受領日から20日間(注1)特定商取引に関する法律第58条
割賦販売(政令指定の商品、役務、権利に限る。)書面受領日から8日間割賦販売法第35条の3の10~12(改正法施行日平成21年12月1日)
預託取引契約(現物まがい商法)(政令で指定された商品に限る。)契約書面受領日から14日間特定商品等の預託等取引契約に関する法律第8条
宅地建物取引(宅建業者が売主で事業所以外の取引に限る。)契約書面受領日から8日間宅地建物取引業法第37条の2
ゴルフ会員権契約契約書面受領日から8日間ゴルフ場等に係る会員契約の適正化に関する法律第12条
投資顧問契約契約書面受領日から10日間(但し、クーリングオフしても、それまでの報酬の支払い義務は残る。有価証券に係る投資顧問業の規制等に関する法律第17条
保険契約(保険会社外での契約に限る。)契約書面受領日から8日間(但し、クーリングオフしても、それまでの保険料の支払い義務は残る場合場合あり。保険業法第309条

(注1)クーリングオフの行使について妨害(不実告知による誤認又は威迫)があった場合は、妨害がなくなり、・・・・・・・・・・・
(注2)書面記載内容によって・・・・・・・・・・・・
                (本表出典:wikipedia)

政令指定の商品、役務権利とは

 特定商取引法の政令では、次のように定められています。項目が多いので、こちら
 →→ クーリングオフできる指定商品、権利、役務の一覧
をご覧ください。
 

注意すべきこと

*契約書面受領日から起算

 クーリングオフの起算日は、「契約書面受領日の翌日から起算」するものであることに注意する必要があります。別の言い方をすれば、契約書面が交付されていない限り、いつでもクーリングオフが行使できるということです。
 また、この契約書面というのは、「法的に完璧な契約書の交付を受けてから」起算するものと解されており、契約書に不備があればいつでもクーリングオフができるとされていますので、個別にご相談ください。

*宅地建物取引の場合

 宅地建物の場合は、売買契約だけがクーリングオフの対象になります。建物の建築請負契約などは、クーリングオフの対象にならないことに注意しましょう。しかも、宅建業者が売主で事務所以外での取引に限られますから、売主が宅建業者でない場合や事務所で契約書を取り交わしたような場合には対象にならないことに注意する必要があります。

*デート商法にはご注意を

 デート商法というのは、消費者側の恋愛感情を巧みに利用して高額な商品を購入させるものです。男性側が(場合によっては女性側が)、業者側で用意した女性に騙され、高額な商品を購入したが、クーリングオフの期間はいかにも恋愛感情があるかのように装い、その期間が経過するのを待つというものです。騙されたことに気付いた時にはクーリングオフ期間が経過していたというわけです。
 なかには一度ならず二度、三度とおねだりされて、高額な商品を買わされてしまったというケースもあるようです。高齢者で、騙されていることに気づかないままに、あの世に行ってしまったというならば、それはそれで幸せだったのかもしれません。
 騙されたと気づいたときに、クーリング期間が過ぎていても、消費者契約法その他の法律を使って契約解除できる可能性もありますので、是非一度、当法務事務所までご相談ください。

*展示会で買った商品

 広告を見て、展示会の会場に出向き着物や宝石を買ったというような場合、クーリングオフの適用があるか否か、結構微妙なのです。展示会の会場が「店舗」と認められるような場合には、自発的に行った以上、クーリングオフの可能性は低いといえます。
 この「店舗」というのは、同一の場所で連続して2~3日以上開催されている必要があるものと解されていますから、1日限りの開催ということになると、「店舗」で販売したのではなく、法的には「訪問販売」と同じ扱いになり、クーリングオフの対象になります。

契約解除の方法

解除は内容証明

 クーリングオフの権利があり、せっかく契約を解除をしても、本当に契約解除がなされたのかどうかが問題とされることがあります。電話で契約の解除をした場合などは特に問題になります。契約の翌日に電話で解除したので安心していたら、「解除の電話は受けていない。誰に電話をしたのか」と聞かれて、はたと困り果てた、というのでは困ります。
 そのような場合にこそ、内容証明郵便は証拠能力として抜群の効果があります。しかも、配達証明付きであれば、「受け取っていない」という抗弁も出来ません。

契約解除のノウハウ

 契約解除を内容証明郵便でする場合でも、ばか正直にやると損をする場合もあります。例えば、家賃を払わない賃借人に対して、契約の解除をするケースで考えてみましょう。普通なら、

  • 先ず、相当の期間を定めて「10日以内に家賃を振り込んでください」と、家賃の催促をします。
  • 次いで、その期限経過した時点で、「期限までに支払いがなかったので、賃貸借契約を解除します」と通知することになります。
    つまり、内容証明が二通必要になります。

 しかし、法律を知っている人ならば、ここは一通で済ませることを考えます。次のように書けばよいのです。

:>>「未払いの家賃を本信到達後10日以内にお支払いください。期限内にお支払いがないときは、改めて契約の解除通知をすることなく、貴殿との賃貸契約を解除いたします」
と、このように書けばよいのです。
 行政書士は、法律の専門家ですから、それぞれの場面で、適宜最適な方法で文書のやりとりをする方法を考えて、アドバイスを行います。

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